初恋の人に遭いたい—
典型的な亭主関白の夫・ジンボンと、思春期真っただ中の生意気盛りな息子と娘。そんな家族に時にうんざりしながらも、健気に尽くしてきた平凡な専業主婦のセヨン。だがある日、自分の命が残りわずかと知らされる。突然の余命宣告に激しく動揺したのも束の間、何かが吹っ切れたセヨンは、自身のおそらく最後となる誕生日プレゼントに、学生時代の初恋相手との再会を熱望。よりによって彼を一緒に探してほしいと夫に頼み込み、夫婦の奇妙な最後の旅が始まるのだが——。
リュ・スンリョン × オム・ジョンアが共演
いまどき珍しいほどに不愛想。日本で言う“昭和的な夫”を体現するのは、『7番房の奇跡』(14)、『エクストリーム・ジョブ』(20)などでヒットを飛ばす国民的俳優リュ・スンリョン。シリアスからコメディまで硬軟自在の高い演技力で、今回も不器用ゆえに愛おしいジンボンをユーモラスに演じ切る。死期が迫るほどに美しく輝きだす魅力的なセヨンに扮するのは、ドラマ『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』(19)、『完璧な他人』(19)などに出演する実力派俳優ヨム・ジョンア。近年は日本でも人気バラエティー番組シリーズ『三食ごはん』で注目される彼女が、ときにコミカルに感情豊かなセヨンを熱演し共感を呼ぶ。
若かりし頃のセヨンの初恋相手ジョンウ役には、大人気K-POPグループ・Wanna One出身のオン・ソンウ。『ソウル・バイブス』(22)など俳優としても注目され、現在兵役中の彼にとって、本作は実質記念すべきスクリーンデビュー作となる。他にも若き日のセヨン役にパク・セワン、若き日のセヨンの親友・ヒョンジョン役にシム・ダルギなどフレッシュかつ個性的なキャスト陣が揃う。
監督は、『国家が破産する日』(19)をヒットに導いたチェ・グクヒ。『完璧な他人』『エクストリーム・ジョブ』などの脚本を担当したペ・セヨン、そしてソン・ガンホ主演の『タクシー運転手 約束は海を越えて』(18)の制作会社=ザ・ランプがタッグを組んだ本作は、韓国なら誰もが知る懐かしのヒット曲が続々登場し、俳優陣が歌い踊るミュージカル映画でもあり、セヨンの初恋相手探しの旅にポップな彩を添えていく。
ポスタービジュアルは、ヨム・ジョンア演じるセヨンの生き生きとした表情と渋々付き合う夫リュ・スンリョンの表情が対照的。“不器用な夫と共に、生きているうちにやりたいことを叶える旅に出る!”という思いは叶うのか。また道中次第に浮き彫りになっていく夫婦の歩んできた道のりと、家族の愛の姿。ラスト10分、あたたかい涙に包まれること必至の優しい感動作が誕生した。
『人生は、美しい』は11月3日(金・祝)よりシネマート新宿、ヒューマントラスト有楽町ほか全国ロードショー