60年間、待ちわびた復讐
80代の老人ピルジュ(イ・ソンミン)は、過去に家族全員を理不尽な出来事で亡くして以来、家族を死に至らしめた裏切り者への復讐を心に誓い生きてきた。認知症で自分の記憶が長くは続かないと悟った彼は、処刑すべき5人の名をタトゥーにして指に彫り、60年前から計画していた復讐殺人を決行すべく、元同僚で年齢差を越え親友となった20代の青年インギュ(ナム・ジュヒョク)が運転手として雇われる。しかし何も知らないインギュは犯行現場近くの監視カメラに映り込んだことで第一容疑者にされてしまう。前代未聞のバディと化した二人は予測不能な追走劇へ身を投じ、やがて衝撃の真実が明らかになる…。
イ・ソンミン×ナム・ジュヒョク
日本でも話題となった映画『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』で「大鐘賞映画祭」主演男優賞を受賞した名優イ・ソンミンが、本作では特殊メイクで80代の高齢者に変貌。演技を超えた憑依的なオーラを発しながら観る者を圧倒する。一方、ナム・ジュヒョクは、映画デビュー作『安市城 グレート・バトル』で青龍映画賞、韓国映画評論家協会賞など多くの新人男優賞に輝き、韓国版『ジョゼと虎と魚たち』やドラマ「二十五、二十一」(Netflix)など話題作への出演が相次ぐ注目の俳優。ピルジュの復讐計画に翻弄されていく青年インギュを多彩な感情で演じる。
監督は、ファン・ジョンミン×カン・ドンウォン共演の『華麗なるリベンジ』のイ・イルヒョン。本作プロデューサーであり、『悪いやつら』『工作』の監督ユン・ジョンビンとともに、クリストファー・プラマー、ブルーノ・ガンツ共演のカナダ・ドイツ合作映画『手紙は憶えている』(2015年/アトム・エゴヤン監督)を原作に、韓国の歴史と社会文化を織り交ぜながらラストもガラリと変えて大胆にリメイク。“異色ずくめのバディ”による一風変わった復讐劇を誕生させた。
記憶が消える前に、奴らを始末する
予告編は、事故を起こした赤いポルシェの横でピルジュ(イ・ソンミン)が頭から血を流しながら立ち尽くし、「手に着いた血…拳銃1丁…」「私はなぜここにいるんだ?」と語る場面から始まる。そこから一転、ピルジュがフレディというニックネームで働くファミレスで、20代の同僚ジェイソンことインギュ(ナム・ジュヒョク)たちと元気いっぱい働く様子が描かれる。
そんな中、ピルジュがある計画を実行すべく、赤いポルシェをレンタル。その計画を知らぬまま、運転手を頼まれたインギュは高級車に大興奮する。しかし実は、ピルジュが脳腫瘍によるアルツハイマー病を患っており、「私は長い時間をかけて、この計画を練りました」という計画とは、60年前の日本統治時代に理不尽な形で家族全員を亡くした彼の復讐だった。記憶がなくなる前に、忘れないように “会いたい人たち”の名前を手指にタトゥーにして記していたピルジュは、冷静に計画を実行に移すが、犯行現場の監視カメラ映像からインギュが殺人の容疑者になってしまう。刑事(チョン・マンシク)らの捜査が迫っても、「1週間だけ時間をくれ」と自分と自分の家族を破滅させた者たちへの復讐を止めないピルジュ。そんな姿に戸惑いながらも、制止するために同行するインギュ。それぞれの思いが交錯する中、復讐の道を疾走する二人の姿から目が離せない映像となっている。
場面写真は、ピルジュが長年の復讐計画に向き合い、実行に移す様子や、思いがけず同行することになったインギュの戸惑う表情などがある中、二人が出会ったバイト先での楽しそうな場面、インギュが心配そうにピルジュの世話を焼く場面など、祖父と孫ほど歳の離れた主人公2人の関係性も垣間見られる。
「ある男の記憶についての物語であり、人間の人生にスポットを当てた作品」とイ・イルヒョン監督が語る、単なる復讐劇とは異なるストーリーと衝撃の結末とは…。
『復讐の記憶』は9月1日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
CS映画専門チャンネル ムービープラスで「今月の韓国映画」放送中