ウェス・アンダーソン監督最新作
アメリカでの予告編公開直後に国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks」でトレンド1位を獲得し、すでに日本でも注目が集まっている本作。監督を務めるのは、『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)でアカデミー賞4部門を受賞、『犬ヶ島』(18)ではベルリン国際映画祭銀熊賞受賞、その独特な世界観で観客を魅了しつづける天才監督ウェス・アンダーソンだ。原案は、ウェス監督と盟友ロマン・コッポラの共作。脚本はウェス監督が単独で務め、彼特有の世界観に満ちたファン必見の一作となっている。
キャストには、ウェス監督作品ではおなじみの、ジェイソン・シュワルツマン、エドワード・ノートン、ティルダ・スウィントン、エイドリアン・ブロディらに加え、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、マーゴット・ロビー、スティーヴ・カレル、ウィレム・デフォー、ブライアン・クランストン、ルパート・フレンド、マヤ・ホークなど豪華キャストたちが共演する。
US公開の週末成績でウェス・アンダーソン監督史上最高記録を樹立し、ウェス監督最高傑作と名高い本作。先日公開となった日本版予告編は、公開から24時間を待たずにSNSでの再生回数が1万回を突破、期待値の高さがうかがえる結果となった。
1枚目は、ティルダ・スウィントン演じるヒッケンルーパー博士の天体観測所の内部をとらえたもの。研究員たちが座る椅子は神経質なまでに整然と並べられ、窓の配置も完璧なシンメトリー。ウェス監督らしい構図のスチールには、白衣を着た研究員に加え、ジュニア宇宙科学大会で科学賞の栄誉に輝いた5人の子供たちとその家族たちの姿も見られる。
そしてもう1枚は、ジェイソン・シュワルツマン演じるオーギー・スティーンベックと、スカーレット・ヨハンソン演じるミッジ・キャンベルがモーテルの窓際で見つめ合う1枚。向かい合わせに建つモーテルの壁や窓の上にかかるサンシェードが、奥にそびえたつ山を中心にシンメトリーに配置されている。
「撮影手法は現代よりも1930年代のそれに近い」
このモーテルや山のセットにもウェス監督のこだわりが詰まっている。アステロイド・シティに登場するダイナーやガレージ、そしてこのモーテルは本物の建物として建てられ、セット自体が小さな街として機能するように造られた。そして、街を包囲するように砂漠のセットが続く。
山も巨石も小さな岩々もすべて造られたもの。あまりに壮大なスケールで広範囲にわたり、説得力のある出来栄え。これが本当の風景でないとは信じがたく、CG用のグリーンスクリーンがほぼ使われていないとも信じられない、ウェス・アンダーソン作品ならではの風景美が堪能できる。
ウェス監督は「キャストのためにどのようなセットを用意できるかが一つの決定的な要素となる」と語る。「本物の空間を作るのは手が掛かりますが、やる価値はあります。『グリーンスクリーンをバックに撮影すれば良かった』と思ったことはないし、そもそもその選択肢が頭をよぎらないです。フィルムで撮っているし、撮影手法は現代よりも1930年代のそれに近いのかもしれません」
『アステロイド・シティ』は9月1日(金)より全国公開