国際女性デー✕アカデミー賞
いよいよ第95回アカデミー賞が目前に迫ってきた。同授与式は2023年3月12日(現地時間)開催だが、その少し前、3月8日が「国際女性デー」に制定されてから今年で48年になる。
国際女性デーは、女性たちの平等な政治・社会、経済活動への参加を推進し、その成果を称えるべく1975年(国際婦人年)に制定された記念日。1900年代初頭にアメリカの女性労働者たちが婦人参政権を求めてデモを起こした<3月8日>にちなんでいると言われている。
声を上げよう。立ち上がろう。
— 国連広報センター (@UNIC_Tokyo) February 26, 2023
3月8日は #国際女性デー #IWD pic.twitter.com/m1EWpzqHVD
そんな国際女性デーを通して、女性の活躍が著しい様々な“記録”づくしとなった本年度アカデミー賞ノミネート作品を、改めてチェックしてみよう。
快挙づくしの『エブエブ』、最多記録王手の名優
まずは、最多ノミネート作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』』の主演女優賞候補ミシェル・ヨーだ。アジア系で初の主演女優賞ノミネートとなったミシェルは、もし受賞すれば助演男優賞にノミネートされているキー・ホイ・クァンと共に初ダブル快挙となるだけに、その期待は大きい(そして可能性も非常に高い)。
そのミシェルのライバルと目されている『TAR/ター』のケイト・ブランシェットは、アカデミー賞作品賞ノミネート作への出演回数が10回目という偉業に王手をかけている。これはレオナルド・ディカプリオやジャック・ニコルソンとタイ記録であり、11作品出演のロバート・デ・ニーロに次ぐ記録である(女性ではオリヴィア・デ・ハヴィランドが2021年までの最多記録保持者だった)。
多くの“初”快挙とアジア系俳優の躍進、女性不在の監督賞
助演女優賞に目を向けると、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のアンジェラ・バセットがいる。ティナ・ターナーの伝記映画『TINA ティナ』で主演女優賞ノミネート経験を持つアンジェラだが、今回はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品で初めて演技部門にノミネートされた俳優となった。
助演女優賞には『エブエブ』のステファニー・スーと『ザ・ホエール』のホン・チャウがおり、アジア系俳優が同カテゴリーに2人ノミネートされるのは史上初。なお、ベテラン俳優ジェイミー・リー・カーティスは『エブエブ』でキャリア初のアカデミー賞ノミネートとなった。
Netflix映画『ブロンド』のアナ・デ・アルマスは、キューバ人として初、ラテン系俳優としては8人目の主演女優賞ノミネートとのこと。また『エルヴィス』で撮影賞にノミネートされたマンディ・ウォーカーは、同カテゴリーで史上3人目の女性撮影監督となった。他にも、ドミー・シーは『私ときどきレッサーパンダ』で長編アニメ映画賞を獲得した初の女性監督となる可能性も高い。
しかし、監督賞に女性クリエイターがノミネートされなかったことは少し残念。主演男優賞ノミネートのA24作品『aftersun/アフターサン』(日本公開:5月26日)のシャーロット・ウェルズや、映画業界の闇に斬り込んだ『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』のマリア・シュラーダー、作品賞・脚色賞ノミネートの『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(日本公開:2023年6月2日)のサラ・ポーリー(俳優としても活躍)、そして『The Woman King(原題)』のジーナ・プリンス=バイスウッドなど、有力候補は少なくなかったはずだが……。
ともあれ国際女性デーをきっかけに、アカデミー賞における女性アーティスト/クリエイターや人種的マイノリティの活躍に注目してみてはいかがだろう。同賞および映画業界の“歴史が変わる瞬間”をお見逃しなく。
第95回アカデミー賞は2023年3月12日(現地時間)開催