ゴールデングローブ賞と並んで“アカデミー賞の前哨戦”と言われる第29回全米映画俳優組合賞(SAGアワード)が2月26日(日)に開催され、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のスタッフ・キャストが主要4部門を獲得した。
ミシェル・ヨー 感激のあまり「FUCK!」
全米映画俳優組合賞は組合員の多くがアカデミー賞会員でもあるため、真の前哨戦と言われている。『エブエブ』は第29回となる同アワードでキャスト賞(最高賞)を含む主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞を受賞し、最多ノミネート中のアカデミー賞への期待がさらに高まる結果となった。
主演女優賞で名前を読み上げられると唖然としたような表情を見せたミシェル・ヨーは、スピーチの壇上でも「話すと心臓が爆発しそう」と感激を抑えるのに必死の様子。「ここにいる皆さんの誰もがジェットコースターのような浮き沈みの旅をご存知でしょう。でも最も大事なのは諦めないことです」と涙をこらえながらスピーチ。
すると感極まったのか、思わず「Shit……Fuck!」と満面の笑顔で言い放ち、会場の笑いと歓声を誘ったミシェル。そして「この賞は私のためではなく、私のような少女のためのものです」と、夢を叶えるべく努力しているアジア系の人々にエールを送った。
https://www.youtube.com/watch?v=s9bDZ35ZMs0
キー・ホイ・クァン号泣、ジェームズ・ホン御大が吼える
さらに『エブエブ』でハリウッドの第一線にカムバックしたキー・ホイ・クァンが、アジア人俳優として初となる助演男優賞を受賞。壇上ではミシェル以上に感情を爆発させ、1984年にキャリアをスタートさせたとき「いつかミシェルと大スクリーンで会える日が来る」という思いが実現したことへの喜びを語った。
https://www.youtube.com/watch?v=VB9LpFzrOPo
このほかジェイミー・リー・カーティスが助演女優賞を受賞した『エブエブ』。最高賞となるキャスト賞授与の壇上には祖父ゴンゴンを演じる名優ジェームズ・ホン(94歳!)も登場し、「70年前に初めて映画俳優組合のカードを手にしました。当時は白人の俳優がテープで目を吊り上げてアジア人を演じていた。プロデューサーから『アジア人はダメ、興行的にもダメだ』と言われていたんです」と述懐。そして壇上の共演者たちを指し「でも、今の私たちを見てみなさい!」とガッツポーズを繰り出し、会場から大歓声が贈られた。なお4部門の受賞は、1作品での受賞としては同アワード史上最多だという。
https://www.youtube.com/watch?v=yijJmElBurY
なお主演男優賞は『ザ・ホエール』で見事に復活したブレンダン・フレイザーが受賞。本命視されていた『イニシェリン島の精霊』は惜しくも受賞を逃したが、主演のコリン・ファレルとブレンダン・グリーソンが率先して受賞者たちに拍手・歓声を送る姿も印象的だった。
https://www.youtube.com/watch?v=E4ZEggnnQRs