『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督が、映画音楽の巨匠、故・エンニオ・モリコーネの葛藤と栄光に迫る音楽ドキュメンタリー『モリコーネ 映画が恋した音楽家』より、クエンティン・タランティーノ監督の“モリコーネ愛”が爆発した本編特別映像が解禁された。
マエストロが遺した永遠のメロディ
2020年に91歳で亡くなったエンニオ・モリコーネに、弟子であり友でもあるジュゼッペ・トルナトーレ監督が密着、結果的に生前の姿を捉える最後の作品となってしまった音楽ドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』が1月13日(金)より公開。このたび解禁された本編映像では、タランティーノ監督がモリコーネ愛とマカロニウエスタンへの想いを熱く語っている。
6度にわたるアカデミー賞ノミネーションを経て、モリコーネに遂に初受賞をもたらした『ヘイトフル・エイト』(2015)。生粋のマカロニウエスタン、そしてモリコーネのファンとして知られるタランティーノ監督が、念願叶ってオリジナルで作曲を手掛けてもらった作品だ。
アカデミー賞授賞式の壇上で「エンニオ・モリコーネは大好きな作曲家だ」「映画音楽、作曲家のレベルを超えている」「彼はモーツァルトであり、ベートーヴェンであり、シューベルトなのだ」と喜びを爆発させるタランティーノ監督。一方、作曲家のA・デ・ローザからは「タランティーノは(マカロニウエスタンの巨匠)レオーネ映画の大ファン。違う音楽を期待したはず」と裏話も。
マカロニウエスタンといえば、その世界的ブームの引き金となった『荒野の用心棒』(1964)では“口笛”をフィーチャーした楽曲、『続・夕陽のガンマン』(1966)では“コヨーテの遠吠え”に似せたテーマ曲を作曲するなど、それまでの映画音楽では見られなかったモリコーネによる斬新な作曲が特徴であり、当初はタランティーノも同様の音楽をイメージしていたはずだと言う。しかし『ヘイトフル・エイト』でモリコーネは、その予想に反してストラヴィンスキーの<詩篇交響曲>フーガの冒頭など“本物の交響曲”であるクラシックを採用。
モリコーネが「ウエスタンに復讐する気分だった」「つまり過去との決別だ」と述べるように、自身を一躍有名にしながらも長きにわたって彼を囚えていた“エンターテイメントの作曲家”というラベリングから自らを解放し、「新たな地平が開けた」(タランティーノ監督)という評価を獲得することになる記念碑的作品でもあったことが明かされる。
そのほか、アカデミー賞受賞式の壇上で熱すぎるモリコーネ愛を語るタランティーノ監督に対して、レオナルド・ディカプリオやエディ・レッドメインなど錚々たるハリウッドスターたちが、笑顔で暖かく見守る様子も必見の映像となっている。
『モリコーネ 映画が恋した音楽家』は2023年1月13日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー