スティーヴン・スピルバーグ監督最新作『フェイブルマンズ』(3月3日より全国公開)が、「第80回ゴールデングローブ賞」で【作品賞(ドラマ部門)】と【監督賞(スティーヴン・スピルバーグ)】を受賞。スピルバーグ監督からの受賞コメントが到着した。
「『フェイブルマンズ』で描いているのは比喩ではなく記憶」
本作は、巨匠スティーヴン・スピルバーグが、“映画監督”になる夢を叶えた自身の原体験を描いた作品。先日行われた「第47回トロント国際映画祭」の最高賞である【観客賞】の受賞に続き、「第80回ゴールデングローブ賞」では主要2部門の受賞を果たした。
スピルバーグが作品賞を受賞するのは2022年の『ウエスト・サイド・ストーリー』から2年連続、さらに監督賞を受賞するのは『プライベート・ライアン』から24年ぶり、ダブル受賞も『プライベート・ライアン』以来の快挙となる。
主人公サミー役にはスピルバーグも絶賛の期待の新人ガブリエル・ラベルがオーディションで抜擢され、サミーの母親・ミッツィ役にはミシェル・ウィリアムズ、父親・バート役にポール・ダノ、そのほかにもセス・ローゲン、ジャド・ハーシュなどベテラン勢が脇を固める。
スピルバーグ自身は本作について「私の作品のほとんどが、成長期に私自身に起こったことを反映したものだ」「たとえ他人の脚本であろうと、映画制作者が入れ込むものは全て、否応なく、自分の人生がフィルム上に崩れ落ちてしまう。これはどうしようもない。しかし『フェイブルマンズ』で描いているのは比喩ではなく記憶なんだ」と本作が自身の記憶に強く結び付いた特別な作品であることを語っており、ゴールデングローブ賞受賞によりアカデミー賞最有力作品へと更に前進した。
スティーヴン・スピルバーグ監督受賞コメント(全文)
準備すると不吉(ジンクス)になってしまうので、何を話すか全く準備していなかったのですが、本当に本当にうれしいです。そして、私より喜んでいる人が5人います。
妹のアン、スー、ナンシー、父、アーノルド、母、リア、彼女は天国で歓喜しているよ。
私は17歳からこの作品をつくるのを避けてきましたが、この物語を部分的に多くの作品で語ってきました。『E.T.』『未知との遭遇』は大いにそうです。しかし、この話を正面から受け止める勇気はなかったんです。
随分前になりますがトニー・クシュナーと『ミュンヘン』の製作に携わっていた頃、彼が聞いた私の人生についてさまざまな話をしてくれました。
これがきっかけとなり、今作についての話し合いが始まりました。
それは『ミュンヘン』だけでなく『リンカーン』『ウエスト・サイド・ストーリー』までも続いたのです。妻のケイトは「この作品をつくるべきだ」といつも言っていました。そして、コロナ禍に突入し誰もが映画製作の機会を奪われてしまいました。
私たちはこの時期、私の過去の全てを振り返り、子供でいることは簡単ではないという事実と向き合いました。
誰もが私を成功者として見ているという事実。
でも、勇気を出して自らを語るまでは誰も本当のことを知らないのです。
私のストーリーをいつ伝えるべきかを考えるのに多くの時間を費やしました。
もう74歳なんだから、今やったほうがいい!
私は、それができて本当によかったと思っています。この栄誉を与えてくれたハリウッド外国人映画記者協会に感謝します。
そして、私のチーム全員に感謝します。
ミシェル・ウィリアムズ、ポール・ダノ、ジャッド・ハーシュ、セス・ローゲン、そしてガブリエル・ラベル、彼は、今作で私を演じましたが実物より良い人間として表現してくれました。 今作に関わったすべての人に、心から感謝します。ありがとうございました。