NBAのレギュラーシーズン中断というタイミングでNetflixにて独占配信し、世界中で大ヒットを記録したマイケル・ジョーダンのドキュメンタリー『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』。
本作を手掛けたのは、アスリートのドキュメンタリーやインタビュー作品を得意とするジェイソン・へーヒル(「UFC Primetime」「30 For 30」)だ。全10エピソードにも及ぶ約500分の超大作は、世界中のNBAファンや現役選手、そしてOBからも反響を呼び、「史上最高のスポーツドキュメンタリー」と呼ばれるほどの作品になった。そんな本作に込めた想いをヘーヒルが語っている。
“マイケル・ジョーダン”という世界一のバスケットボールプレイヤー
「私達は人々をより人間らしく表現するように心がけています。ただ、当時は選手のドキュメンタリーというジャンルが、今ほど確立されていない時代。今はソーシャルメディアなどでロッカールームの中、選手の家、練習施設、オフシーズンのワークアウトなど、コート外の姿をいつでも見ることができます。しかし、90年代はそういったものがまったくなく、お気に入りの選手のユニフォームを脱いだ後の姿を見られる機会は稀でした。ジョーダンが現れる前までは、選手が試合会場に着いた時の姿ですら貴重なほどだったのです。しかし、我々は彼らの最後のシーズンを完全密着されることを許可された。そのため、このドキュメンタリーでは今まで見ることのできなかったような映像をたくさん収め、伝えられると確信していました。ファンたちはジョーダンがユニフォームを脱いだときに何をしているのか、実際にどういったものが好きなのか、どうやって世界の注目を集めたのかを知りたがっていました。ジョーダンは世間からドキュメンタリーを求められた人物なのです」
当時は珍しかったアスリートへの密着。そんな中、人気・実力ともに絶頂ながらも最後のシーズンと噂されていたブルズとジョーダンへの密着が許されたのは、彼らにとっても我々ファンにとっても幸運なことだった。へーヒルは当時のブルズをこう例える。
「当時のシカゴ・ブルズはバスケット、NBAを超越した、まるで世界を股にかける“ロックスター”のような存在でした。そしてジョーダンは、マドンナやローマ教皇と並んで、当時世界で最も有名な人物のひとりでした。みなさんはこのドキュメンタリーで、“マイケル・ジョーダン”という世界一のバスケットボールプレイヤーの新しい姿を見ることができるのです」
“世界で最も有名な人物”バスケットボールプレイヤーの枠を大きく超えたジョーダンとシカゴ・ブルズ。そんな彼らのラストシーズンを偽りなく伝えた『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』はやはり名作と言えるだろう。