#MeToo運動を爆発させた衝撃のスクープ
2017年、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された1つの記事が、それまでハリウッドの絶対権力者として君臨していた映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインによる性的暴行事件を暴いた。その後、世界中で「#MeToo」運動が巻き起こり社会現象となったのは周知の通りだが、当時記事を担当したのはジョディ・カンターとミーガン・トゥーイーという2人の女性記者だった。
この度、2人の著作でピュリッツァー賞を受賞したノンフィクションの傑作『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』が映画化される。出演は『プロミシング・ヤング・ウーマン』のキャリー・マリガン、『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』のゾーイ・カザン。監督は『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』のマリア・シュラーダーが務める。
作品は、真実を懸命に追求しようとする2人の女性の姿を詳細に描写。誹謗中傷を浴び、取材対象者から拒否されながらも妥協せずに取材を続ける姿が映し出されている。また、ワインスタインの悪行が繰り返されるのを阻止するために名乗り出た被害女性や目撃者の勇気も描かれる。
「女性のヒーローイズムに溢れた作品よ」
日本公開を2023年1月13日に控え、YouTubeには「SHE SAID | A Look Inside Featurette」がアップ。マリガンやカザンのほか、シュラーダー監督、さらには著者のカンター、トゥーイー本人のインタビューも収録されている。
カザン「この物語は#MeToo運動についてでもなく、その後どうなったかでもない。記事公開までにどのようなストーリーが展開されたか。2人のワーキングマザーが完璧な記事の公開に邁進し、世の中を変えようとする姿を描いている」
シュラーダー監督「これは単なる実話ではない。世の中を揺るがした出来事の知られざる部分を描いている。ジョディ(・カンター)とミーガン(・トゥーイ)がどんな人物で、記事を出すまでに何があったかを見てほしい」
マリガン 「語られなかった歴史の一部を語ることは興味深いし、(出演は)2人が行ったことに敬意を払うには最良の方法だった。女性のヒーローイズムに溢れた作品よ」
カンター「最も恐れていたのは、記事を潰されること。ワインスタインは情報元の被害女性にとっても脅威の存在だったから。私たちは活動家ではなくジャーナリスト。真実を明らかにすれば、どんな問題でも解決にも繋がると信じている」
トゥーイー「調査を進めるほどに身に危険が及んだ。記事を公開できず、ワインスタインという怪物による被害者が増えていく恐怖を感じていた。ただ一方でそのことが調査を進めるモチベーションにもなっていた。前に進もうと決意した人が、真実を語る勇気を見てほしい。真実こそが大事よ」
制作はブラッド・ピットが設立した「Plan B Entertainment(プランBエンターテインメント)」。ブラッド・ピット自身も製作総指揮に名を連ねている。なお本作でキャリー・マリガンが「第80回ゴールデングローブ賞」助演女優賞に見事ノミネートされている。
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』は2023年1月13日(金)より公開