ウォン・カーウァイ監督の代表作5作がスクリーンに蘇る特集上映『WKW 4K』が、2022年8月19日(金)より全国順次公開を迎える。4Kの高画質になって帰ってきたカーウァイ監督の珠玉の5作品をご紹介する!!
香港を代表する映画監督ウォン・カーウァイ
ウォン・カーウァイ(王家衛)は中国・上海出身。5歳のときに香港へ移住し、香港理工学院へ入学。卒業後はテレビの現場を経験し、脚本家・製作者として映画界で活躍した。『いますぐ抱きしめたい』(1988年)で映画監督デビューを果たし、主演のアンディ・ラウを一躍大スターにした。1997年公開の『ブエノスアイレス』でカンヌ映画祭の最優秀監督賞を受賞、2000年には『花様年華』でトニー・レオンが主演男優賞を獲得し、パルムドールにノミネートされた。またカーウァイはカンヌ映画祭で高い評価を受け、香港を代表する映画監督の一人になった。このたび、『花様年華』の制作20周年を記念し、監督自らの手により過去作を4Kレストアするプロジェクトが実施。珠玉の5作『恋する惑星』(1994年)『天使の涙』(1995年)『ブエノスアイレス』『花様年華』『2046』(2004年)がスクリーンに帰ってくる。
4Kリマスターで蘇る!! カーウァイ監督の珠玉の代表作5作をご紹介
『恋する惑星 4K』
トニー・レオン、フェイ・ウォン、ブリジット・リン、金城武、ヴァレリー・チョウ出演、男女のすれ違う恋愛模様を描いた作品。刑事223号は、別れた恋人が好きだったパイナップルの缶詰を買い続けていた。だが、彼女を忘れるため、バーの片隅で出会った金髪の女性に声をかけて一夜を過ごすことになる。その頃、刑事223号もよく立ち寄る小食店に新しい店員が入ってくる。新入りのフェイは、夜食を買いに来た警官663号に恋心を抱き、偶然手に入れた彼の家の鍵で部屋に忍び込み……。この作品を観たクエンティン・タランティーノ監督が感動し、彼の作った全米映画配給新レーベル“Rolling Thunder”の第一回配給作品に選ばれ、全米公開につながったことでも知られている。
『天使の涙 4K』
レオン・ライ、ミシェール・リー、金城武、チャーリー・ヤン、カレン・モクが出演。エージェントの女は、仕事以外で顔を合わせることがほぼない殺し屋の男に密かな恋心を抱いていた。足を洗いたいと考えている殺し屋はある大雨の日、金髪の女に出会い、互いのぬくもりを求める。一方、期限切れのパイナップル缶を食べて口がきけなくなったモウは、夜な夜な他人の店で勝手な商売を楽しむ日々。そんな中、失恋娘と出会い初めての恋をする――。本作は本来、『恋する惑星』の第3話として予定されていた物語だった。
『ブエノスアイレス 4K』
トニー・レオンとレスリー・チャンが共演、カーウァイ監督が男同士の切ない愛を描いた恋愛ドラマを描く。香港から南米アルゼンチンへやって来たウィンとファイ。自由奔放なウィンと、そんなウィンに振り回されっぱなしのファイは何度も別れてはヨリを戻している。これも“やり直す”ための旅だったが、些細なことからまた痴話喧嘩をして別れ別れに。しばらくしてふたりは再会を果たし、怪我をしたウィンをファイが看病しながら一緒に暮らすようになるが……。カーウァイ監督はカンヌ映画祭で最優秀監督賞を受賞した。
『花様年華 4K』
『欲望の翼』(1990年)に次ぐ、カーウァイ監督の1960年代シリーズ2作目。トニー・レオンがカンヌ映画祭で主演男優賞を受賞した。1962年の香港。地元新聞社の編集者であるチャウと、商社で秘書として働くチャンは同じアパートへ同じ日に引っ越してきて、隣人となる。やがてふたりは、互いの伴侶が不倫関係であることに気付き、一緒に時間を過ごすことが多くなる。誰にも気づかれないよう慎重に、裏切られ傷ついた者同士が次第にささやかな共犯にも似た関係を育んでいくが――。
『2046 4K』
1960年代後半の香港。記者で作家のチャウはかつてひとりの女を心の底から愛したが結ばれることはなかった。過去の思い出から逃れるように自堕落な生活を送っていた彼は、ある日ジンウェンと出会う。彼女には日本人の恋人タクがいたが、父親の反対でタクは日本に帰ってしまった。チャウはふたりに触発され近未来小説を書き始める。世界的に知られる俳優のトニー・レオン、チャン・ツィイーやコン・リーら豪華女優勢が集結! 公開当時、SMAPの木村拓哉が初めて出演する海外作品として、日本国内でも大きな話題を呼んだ。
カーウァイ監督が4K再上映に向けてこだわりを明かす
カーウァイ監督は、新たな上映素材について「『恋する惑星』と『花様年華』は私のお気に入りのアスペクト比1.66:1で撮影され劇場公開されましたが、ビデオ化の際に1.85:1に修正されました。そこで今回のレストアでは元のアスペクト比に戻しました。『天使の涙』は、元々意図していたスコープサイズに変更しています。当時はスタンダード画面で撮影したものをワイド画面に編集することは不可能でしたが、今回のレストアで実現することができました。また、『恋する惑星』は公開当時5.1chが存在しなかったため、今回5.1ch音声を再構成。『花様年華』もリミックスしています」と、画面サイズや音声の修復についてこだわりを明かした。
カーウァイ監督と撮影監督クリストファー・ドイルの名コンビが生み出す映像は、それまでのアジア映画のイメージを一新した。90年代に日本で巻き起こったミニシアターブームを牽引する存在となり、そのスタイリッシュな映像と世界観は、今もなお多くのクリエイターに影響を与え続けている。
ウォン・カーウァイ監督の特集上映『WKW 4K』は、2022年8月19日(金)より全国順次公開!!