ハリウッドの破壊王として知られるマイケル・ベイ監督のSF超大作『アルマゲドン』(1998年)が、本日2022年7月25日(月)13時よりNHK BSプレミアムで放送される。ベイ監督が出演者のベン・アフレックに命じたぶっ飛んだ要求や、本作の知られざる制作秘話など、観る前に知るとより楽しいトリビア7つをまとめてご紹介したい。
小惑星が猛烈なスピードで地球に接近!! 滅亡の危機から地球を救うために男たちがたちあがる——。家族や恋人、そして仲間。大事な人と地球のために命をかける男たちを、マイケル・ベイ監督が迫力の演出で描いた感動のSFアドベンチャー。主演は、俳優業の引退を発表した名優ブルース・ウィリス。ベン・アフレック、リヴ・タイラーはじめ個性派俳優が共演した。リヴ・タイラーの実父、スティーヴン・タイラーがボーカルをつとめるエアロスミスが主題歌「ミス・ア・シング(I Don’t Want to Miss a Thing)」を手がけ大ヒットを記録した。
観る前に知るとより楽しい!本作にまつわるトリビア7選
アフレックが思わず監督に論理的欠陥を指摘!!
本作が公開されたとき、映画批評家たちの大きな不満のひとつは、脚本が論理的な欠陥だらけだったことだった。特に、ウィリス演じる石油掘削員のハリー・スタンパーが、身体検査は合格だったため宇宙行きがサクッと決まり、地球に衝突しそうな小惑星に穴を掘って核爆弾を仕掛けるというプロットは、明らかに論理的ではないことがわかるだろう。出演者の一人であるアフレックもその意見に賛同していた。DVDのドキュメンタリー映像では、アフレックがベイ監督に懸念点を伝えたときの驚くべきエピソードが明かされている。
アフレックは「俺は、宇宙飛行士を訓練して石油掘削員になるよりも、石油掘削員を訓練して宇宙飛行士になる方が簡単なのは何故なんだ? と聞いたんだ。そしたらマイケルに“黙れ”と言われたよ。それでその話はおしまいだったね。」と明かした。
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ベイ監督がアフレックに歯の審美治療をトンデモ要求!?
ベイ監督とアフレックとの気まずい(?)エピソードはこれだけではない。ベイはDVDのドキュメンタリー映像で、本作のためにアフレックに歯の審美治療を命じていたことを明かしている。ベイによると、アフレックは丸1週間、1日8時間歯医者に通い、2万ドル(約270万円)をかけて治療に臨んだという。メインの出演者には超厳しいベイだが、本作に出演したスティーヴ・ブシェミが「歯を矯正したい!」と言ったときには、ベイは「やめておけ!」と答えたことが明かされている。
アフレックはその後、俳優としてのキャリアを順調に重ねることができており、歯を治療した甲斐はあったのかもしれない。『パール・ハーバー』(2001年)でアフレックと共演したケイト・ベッキンセイルは、ベイ監督が映画のために彼女に減量を命じたとき、アフレックは「歯の悩みを話して私に同情してくれた」と回想している。「私は“そうね、少なくとも私は本物の歯を失うことはないものね”と思えたの」と語っていた。
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J・J・エイブラムスが脚本書き直しに協力
『スターウォーズ』続三部作(2015年〜2019年)など多くのSF映画を手がけ、今やハリウッドを代表する映画監督の一人であるJ・J・エイブラムスは、90年代後半は脚本家として活躍し、他の脚本家が書き上げた脚本を手直しすることで報酬を得ていた。エイブラムスは本作の脚本にも携わっており、ロバート・ロイ・プールが書いたオリジナルの脚本を、他の8人の脚本家とともに磨きをかけたことが明かされている。
ウィリスとリヴ・タイラーの別れのシーンは撮影初日に撮影!!
本作でもっとも感動的な名シーンといえば、小惑星に留まることに決めたウィリスが娘を演じるリヴ・タイラーへ別れを告げるシーンだろう。このシーンはなんと撮影初日に撮影されたことが明かされている。ウィリスはこの別れのシーンの撮影中、実の娘たちの写真を見ながら、彼女たちに別れを告げることを想像して撮影に臨んだという。それだけで「本当に胸がいっぱいになった」とのことだ。
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撮影では本物のスペースシャトルを使用!!
本作にはスペースシャトルが登場するのだが、実はそれが制作のために作られたものではなく、NASAが実際に使用する予定のスペースシャトルだった。ベイ監督と製作チームは、実際のスペースシャトルの前で撮影する許可を得ることができたのだという。そのスペースシャトルは数日後に打ち上げられる予定だったため、シャトルの近くでは照明や音響機材が禁止され、誰も入ることができないという、いくつかの注意事項があった。アフレックはシャトルに飛び込もうとしたが、すぐに叱られてしまったとのこと。
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宇宙服が「アディダスのジャージみたい」で2億かけて作り直し!!
ベイ監督はDVDのドキュメンタリー映像で、本作で使用する宇宙服の衣装が「撮影全体における最大の悪夢」だったと語っている。ベイによると、撮影開始の3週間前に衣装をチェックした時、その宇宙服は“ラックに置かれたアディダスのランニングウェア”のように見えたという。ベイは「園芸店で買った手袋をスプレーでグレーに塗り、関節の部分にゴムを縫い付けている人を見つけたときに、ストレスの限界に達してしまった」と語り、衣装を直すのに最終的に150万ドル(約2億円)を費やしたという。
製作チームはヘルメットをデザインした衣装デザイナーのクリス・ギルマンに宇宙服のデザインを依頼した。その宇宙服の出来栄えはNASAに衝撃を与えたという。ギルマンはテレビや映画での宇宙服制作で有名な人物で、「ファイヤーフライ 宇宙大戦争」(2002年)、『アド・アストラ』(2019年)などの作品で小道具や衣装のデザイン・製作に携わっている。実際にNASAや民間宇宙企業のプロジェクトに参加している敏腕デザイナーである。
主題歌はエアロスミス唯一の全米No.1シングルに
全世界で1億5,000万枚以上を売り上げる米ロックバンドのエアロスミスが歌う本作の主題歌「ミス・ア・シング(I Don’t Want to Miss a Thing)」は、シンガーソングライターのダイアン・ウォーレンが『アルマゲドン』のために書き下ろした。本作公開後、同曲は全米1位の大ヒットを記録。同曲は現在も、エアロスミスにとって唯一の全米1位を獲得したシングルとなっている。
ウォーレンは当初、女性シンガーが歌うことを想定していたそうだが、米ディズニーの重役であるキャシー・ネルソンがエアロスミスを推薦してくれたと語っている。その当時エアロスミスは結成30周年に近く、絶大な人気を誇っているロックバンドだった。1997年発売のアルバム『ナイン・ライヴズ』は、ビルボードチャートの上位にランクインし、大規模なツアーを行っている最中だった。さらに、フロントマンのスティーヴン・タイラーが、グレース・スタンパーを演じたリヴ・タイラーの父親であることを考えれば、推薦した理由も理にかなっている。
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『アルマゲドン』(1998年)は、本日2022年7月25日(月)13時よりNHK BSプレミアムで放送!
『アルマゲドン』
テキサス州と同じ大きさの巨大アステロイド(小惑星)が、時速35,000キロのスピードで地球に接近していた。衝突すれば確実に地球は全滅する。人類が生き残る方法は唯ひとつ。小惑星の地下深くで核爆発を起こし、その軌道を変えるのだ。このミッション遂行のため選ばれたのは、6人の宇宙飛行士と、8人の石油採掘のプロフェッショナル達だった。残された時間はあとわずか。終焉へのカウントダウンの中、彼等は全人類の希望を背負いついに宇宙へと旅立った……。
監督:マイケル・ベイ
脚本:ジョナサン・ヘンズリー J・J・エイブラムス スコット・ローゼンバーグ
出演:ブルース・ウィリス ベン・アフレック リヴ・タイラー
制作年: | 1998 |
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