『フル・モンティ』(1997年)のピーター・カッタネオ監督最新作『シング・ア・ソング !~笑顔を咲かす歌声~』が2022年5月20日(金)より全国公開となる。1980~90年代のポップ・ソングを、登場人物たちの心情に沿うように使用している本作にちなみ、同じように“歌で思いを届けている映画6作品”をご紹介!
4月になったから春の陽気がアツい?いや、近年は音楽映画が凄まじくアツい!『イン・ザ・ハイツ』(2020年) 『Tick, tick…BOOM チック、チック ブーン』(2021年)『ウエスト・サイド・スト ー リー』(2021年)など、ミュージカルという表現方法に頼ることな く、既存の楽曲やアレンジを加えた楽曲を駆使して、歌で思いを届けている作品が増えてきた。2021年のカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞した『TITANE/チタン』(2021年)、2022年のアカデミー賞作品賞『コーダ あいのうた』(2021年)の傾向を見れば一目瞭然、もはや“歌で想いを届けるムービー”は、世界の映画マーケ ットではトレンドのど真ん中と言っても過言ではない。そのトレンドへの布石を打ってきた名作および最新作6作品を一挙紹介!
愛する人の無事を願い歌う―“軍人の妻”合唱団
『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』2022年5月20日(金)より全国公開!
ピーター・カッタネオ監督が、軍人の妻たちが結成した合唱団の実話を基に描いたハートフル・ストー リー。 愛する夫やパートナーを戦地へ送り出し、その無事を願いながらイギリス軍基地で暮らす女性たち。不安と緊張の 毎日を、普段と変わらず静かに暮らすことを求められる彼女たちは、互いに支え合い共に苦難を乗り越えるための活動として、合唱団を結成する。心も声もバラバラだった女性たちが、仲間との絆や自らを表現する場を見出していき、やがて大イベントへの招待状が届くが 。劇中の合唱団が歌うのは「タイム・アフタ ー・タイム」「シャウト」「オンリー・ユー」「ウ ィー・アー・ファミリー」など 80 年代を中心とした有名ポップ・ソングの数々。戦地の夫やパートナーとやり取りされた手紙 をもとに作られた詞を歌った実在の 軍人の妻 合唱団のメンバーの曲は全英チャート1 位に輝いた。
音楽コメディの金字塔!
『天使にラブソングを』(1992年)
名女優ウーピー・ゴールドバーグを一躍スターダムに押し上げた代表作にして、続編およびミュージカル舞台も製作された音楽コメディの名作。マフィアのボスによる殺人事件を目撃したナイトクラブの歌手デロリスは、かくまわれた先の修道院で聖歌隊に参加。歌のヘタなシスターたちに純粋な聖歌ではなく、ノリノリアレンジのゴスペルを叩きこみ、マフィアの追手を上手くかわしながら修道院の仲間たちとのコンサート成功に奔走する……。『シング・ア・ソング!~笑顔を 咲かす歌声~』同様、歌って笑って強くなる、個性豊かな修道女たちの姿と熱唱の数々にテンション UP!
第87 回アカデミー賞歌曲賞ノミネート!
『はじまりのうた』(2013年)
スティーヴン・スピルバーグ監督も賞賛したアイルランド映画『ONCE ダブリンの街角で』(2006年)で知られるジョン・カーニー監督による、夢追い人のラブソング・ムービー。恋人の浮気で傷心のシンガーソングライター・グレタ(キーラ・ナイトレイ)は、 ひょんなことから落ち目の音楽プロデューサー・ダン(マーク・ラファロ)とNYを舞台に前衛的なコンセプトアルバムを作ることになる。全米 5 館での上映から口コミでジワジワと上映館数が拡大。米人気バンド・マルーン5のアダム・レヴィーンが映画に初出演し、レヴィーンが歌う劇中歌「Lost Stars」は第 87 回アカデミー賞の歌曲賞にノミネートされた。
YouTubeで約2億回も再生!
『ピッチ・パーフェクト』(2012年)
廃部寸前の女子アカペラ部を舞台にした、全米スマッシュ ・ ヒットのガールズ音楽ムービー。音楽プロデューサーを目指すベッカ(アナ・ケンドリック)は、ひょんなことから、大学で人気ゼロのアカペラサークルに入部する。一癖も二癖もあるメ ンバーと切磋琢磨し、美しいハーモニーを奏でながら、アカペラ大会優勝を目指すが――。アナ・ケンドリックが歌う「Cups (Pitch Perfect’s “When I’m Gone”)」は YouTubeで2 億回以上再生され、全米シングルチャートのトップテンにもランクイン。続編『ピッチ・パーフェクト2』(2015年)は全米興収初登場第1位を記録した。
配信作として初のアカデミー賞作品賞を受賞!
『コーダ あいのうた』(2021年)
https://www.youtube.com/watch?v=u9nSyk8_lbk
第94 回アカデミー賞において、配信作品として初めて米アカデミー賞作品賞を受賞した感涙音楽映画。聾者の家族の中で唯一耳の聞こえる高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は音楽教師から歌の才能を認められるも、陽気で優しい家族のために通訳係として家業の漁業を手伝う日々を送っていた。耳の聞こえない家族はルビーの歌の才能を認められないでいたが、ルビーの歌の発表会で父フランク(トロイ・コッツァー)は思いがけない光景を目にする 。フランス映画 『エール!』(2014年)のリメイク作品ながらも、第94回アカデミー賞では作品賞のほか助演男優賞、 脚色賞の3部門を受賞。クライマックスでルビーが歌う映画オリジナルアレンジの楽曲「青春の光と影」は号泣必至の神曲だ。
楽曲も物語の重要なアイテム!
『TITANE/チタン』(2021年)
フランス映画界待望の、変態ジュリア・デュクルノー監督長編映画監督作2本目にして、第 74 回カンヌ国際映画祭の最高賞にあたるパルムドールを受賞した超絶問題作。審査員を務めたスパイク・リー監督に「こんな映画見たことがねえ!」と言わしめた。頭にチタンを埋め込んだ殺人鬼アレクシス(アガト・ルセル)が、マシンベイビーを出産するまでの奇天烈な彷徨を妙な説得力と高い演出力で描き出す。劇伴と して使用される「Wayfaring Stranger」、「She’s Not There」、「Light House」などの既存曲のほとんどが、ストーリーの補完やキャラクターの心境を表す重要なアイテムと して効果的に流れている。
『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』 は、2022年5月20日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷・有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋他全国順次公開
『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』
大切な人の無事を願いながら、英軍基地に暮らす軍人の妻たち。謙虚に静かに、普段と変わらぬ生活を 送ることを求められる彼女たちは、共に苦難を乗り越えるための活動として“合唱”を始めることに。熱意が 空回り気味の大佐の妻ケイトと、思春期の娘に頭を悩ませるリサが中心となり、バラバラだったメンバーたち の心と歌声は次第に一つになっていく。そんな合唱団のもとに、ある日、毎年大規模に行われる戦没者追悼 イベントへの招待状が届く。思いがけない大舞台に浮足立つ 妻たちだったが、そこに舞い込んだのは、恐れて いた最悪の知らせだった―。
監督:ピーター・カッタネオ
出演:クリスティン・スコット・トーマス、シャロン・ホーガン
制作年: | 2019 |
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2022年5月20日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷・有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋他全国順次公開