第38回サンダンス映画祭でプレミア上映され話題を呼んだ北欧発のイノセントホラー『ハッチング―孵化―』が、2022年4月15日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他にて全国順次公開される。このたび、新鋭のハンナ・ベルイホルム監督が本作の構想や世界観について語るメイキングインタビュー映像が解禁された。
本作の主人公は、北欧フィンランドで暮らす幸せな4人家族。だが、それは表向きの姿。少女が孵化させた卵が、絵に描いたような幸せな家族のおぞましい真の姿をさらしていく——。サンダンスでのワールドプレミアを経て、3月に本国フィンランドで公開されたばかりの注目の最新作だ。
主人公の少女ティンヤを演じるのは1,200人のオーディションから選ばれたシーリ・ソラリンナ。母親を喜ばせるために自分を抑制する、この年代特有の儚さやあやうさを、初演技ながら見事に演じきっている。母親役はフィンランドで多くの作品に出演するソフィア・ヘイッキラ。理想の家族像を作り上げ、娘を所有物として扱う自己中心的な母親を演じている。メガホンをとるのは多くの短編作品を世界の映画祭に出品して高い評価を受け、今回が長編デビュー作となる女性監督ハンナ・ベルイホルム。北欧ならではの明るく洗練された一家の中に潜む恐怖を見事に切り取ってみせている。
監督インタビュー+メイキング映像が解禁!
このたび解禁となったインタビュー映像で、ベルイホルム監督の口から語られたのは、2つの見どころポイントだ。
ともに脚本を担当したイリヤ・ラウチから<少年が鳥の卵から自分の悪い分身を孵化させる>という脚本のアイデアを提示された監督は、そのアイデアを気に入ったと同時に、主人公を少年ではなく少女にしたいと瞬間的に考えたという。「ストーリーが面白いからこそ主役は少女にしたかった」と語り、その理由は、主人公が育てた卵が孵化するという行為に“母と子”という関係性を持たせるためのものであったそう。母親からの過度な期待や愛情への不安を抱える少女ティンヤと自己表現のために家族も利用する母親との関係だけでなく、ティンヤが育て卵から孵化した“それ”との関係にもぜひ注目してほしい。
また監督は、ティンヤら家族が住む家だけでなく、作品の世界観として全体を少しだけ現実より格上げすることを美術監督や撮影監督に求めたという。この映像が映し出す家族が暮らす家の内装は、一見明るく洗練されているが完璧すぎて息が詰まるような雰囲気も感じさせ、母親が与えたのであろう純白のワンピースを着たティンヤが友人のお見舞いで病院を訪れる本編シーンも、あまりに人工的で不気味さすら感じるほど。監督は「美しく明るい環境で起こる恐怖を表現したかった」と狙いを語り、「母親の理想的な世界観を再現しているけど、最後にはそれが恐ろしいものであることが分かる」と物語の行方を示唆するコメントも。
監督は、「母と娘、そして母親が自分のありのままを愛していないと感じる娘の物語を伝えることが、とても重要だった。だから、ホラーの要素をはじめ映画の中で起こる全ての出来事が、この母と娘の物語を本質的に伝えるものでなければならない。映画の中でデザインされたものは、常にこの1つのストーリーと繋がっているのです」と、本作が描くテーマについて語っている。
北欧発イノセントホラー『ハッチング―孵化―』は、2022年4月15日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他にて全国順次ロードショー。
『ハッチング―孵化―』
北欧フィンランド。12歳の少女ティンヤは、完壁で幸せな自身の家族の動画を世界へ発信することに夢中な母親を喜ばすために全てを我慢し自分を抑え、体操の大会優勝を目指す日々を送っていた。ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。家族に秘密にしながら、その卵を自分のベッドで温めるティンヤ。やがて卵は大きくなりはじめ、遂には瞬化する。卵から生まれたそれは、幸福な家族の仮面を剥ぎ取っていく……。
監督:ハンナ・ベルイホルム
脚本:ハンナ・ベルイホルム、イリヤ・ラウチ
出演:シーリ・ソラリンナ、ソフィア・ヘイッキラ、ヤニ・ヴォラネン、レイノ・ノルディン
制作年: | 2021 |
---|
2022年4月15日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他にて全国順次ロードショー