2022年3月18日(金)〜22日(火)に二子玉川で開催された、日本最大規模の子ども国際映画祭「28th キネコ国際映画祭」にて、コンペティション部門の受賞作品を発表した。
この投稿をInstagramで見る
「キネコ国際映画祭」は、1992年に渋谷でスタートした子ども国際映画祭。国内で唯一、ヨーロッパ子ども映画団体(ECFA)や子ども・青少年向けのオーディオ・ビジュアルのプロフェッショナルが集まる団体(CIFEJ)に加盟し、子どもたちが映画を通じて世界の芸術や文化に触れ、映画から夢や希望を育むこと、子どもたちの人生の指針のきっかけとなる映画の上映に取り組んでいる。
今年の同映画祭は、プログラミング・ディレクターを務める中山秀征、今年初参加となった井ノ原快彦、斎藤工、平澤宏々路が登場し華やかに開幕を飾った。開催期間中には、ジェネラル・ディレクターの戸田恵子や横山だいすけが、キネコ名物となる声優による生吹替えで映画を楽しむ「ライブシネマ」に参加。多くのファミリー層が来場し、計95,321人の動員となり大盛況の中閉幕した。
今年は、19か国地域の全57作品のコンペティション対象作品から、小学4~6年の応募者の中から選ばれた12人のキネコ審査員による審査会議を経て「チルドレン部門」の各賞を決定。今年から新設となった、中高生によるティーンズ審査員13人が選ぶ「ティーンズ部門」の作品に贈られる「長編グランプリ」「短編グランプリ」も決定し、また国際審査員による各賞は、海外で映画や芸術の世界で活躍する審査員8人が選定した。今回の各賞のグランプリ作品は今秋に開催予定の「シュリンゲル子ども国際映画祭」にて上映されるほか、世界各国の子ども国際映画祭にて上映される。
28thキネコ国際映画祭 コンペティション部門の受賞作品
キネコ審査員ティーンズ部門長編グランプリ:
『Into the Beat』(監督:シュテファン・ウェステルウェレ/ドイツ)
【監督コメント】
受賞、嬉しく思います。ドイツのベルリンは今、朝の9時半です。受賞したことで嬉しいのは映画に込めたメッセージが多くの皆さんに伝わったことです。喧嘩をすることではなく、手を取り合って成長することの願いを込めて作りました。
【受賞理由】
バレエとストリートダンスが色彩の対比で区別されていたり、迫力のあるダンスが随所に取り入れられていたりという視覚的な描写の美しさや、場面をさらに盛り上げる役割を果たしていた音楽の挿入、10代として共感できるメッセージ性が、選考の理由です。また、劇中の大きなメッセージであると感じた「一人ひとりが自分の心の動きを信じて、自分の道を進む」ということを、“In to the Beat”という題名がわかりやすく表していると感じました。Congratulations!
キネコ審査員ティーンズ部門短編グランプリ:
『I Iike Spiderman…so what?』(監督:フェデリコ・ミカリ/イタリア)
【受賞理由】
この映画はジェンダーの不平等や差別について考えさせられる作品です。先入観で常識とされている周りの考えに流されない主人公の強さに感動しました。多くの人に考えるキッカケと勇気を与える作品だと感じグランプリに選ばせて頂きました。
キネコ審査員チルドレン部門長編グランプリ:
『ボッチャボーイズ』(監督:ジューリオ・ヴィンセント・ガムブート/アメリカ)
【監督コメント】
フランスのパリから参加しています。賞をいただけて嬉しいです。個人的な気持ちも込めて自身の祖父の体験に基づいた話であり、皆に共有できるメッセージを込めました。コロナ禍になってからほとんどの映画祭ではオンラインで開催されていましたが、キネコではお客さんに会場で観ていただけたことを嬉しく思います。
【受賞理由】
とても明るく、面白い映画でした。おじいちゃんと孫との関係性が見どころで、私たちは飽きずに楽しく鑑賞することができました!
キネコ審査員チルドレン部門実写短編グランプリ:
『アメリアを救え』(監督:マシュー・J・フリッジ/アメリカ)
【監督コメント】
映画を作る時も楽しかったのですが、皆さんが楽しんでいただいている姿を見ることができて、より一層楽しくなります。楽しんでいただいてよかったです。そしてこのように評価していただき誇りに思っています。ありがとうございました。
【受賞理由(キネコ審査員/チルドレン部門)】
2つの作品で1時間以上みんなで悩みましたが、『アメリアを救え』に決まりました。何十年も前のラジオマイクの使い方が分からない中、二人で協力しながら進めていく場面が印象に残りました。粘り強くアメリアを救おうとする姉妹のように、私も困った時には勇気を持ってとっさに行動できるようにしたいと思います。
キネコ審査員チルドレン部門アニメーション短編グランプリ:
『こおりのくにの おくりもの』(監督:カロリーヌ・アティア/フランス=スイス)
【監督コメント】
受賞してとても嬉しく思います。本作は個人的な気持ちも込めていて、私自身のおじいちゃんの過去、体験に基づいたお話で、かつ皆さんが共感できるような大切な人を失った悲しい気持ちや、伝統を引き継いでいったりといったメッセージが、日本の方々にも共感していただいて嬉しく思います。ほとんどの映画祭がオンラインで開催されているなか、実際に劇場に足を運んで皆さんが見て下さったことがとても嬉しいです。
【受賞理由(キネコ審査員/チルドレン部門)】
最後2つの作品で迷いましたが、「どんなにつらいことがあっても、かならずゴールがあるのだから」という勇気をくれるメッセージをもらったこの作品を選びました。父を目標とする主人公の思いに私たちは感動し、心が温かくなりました。
国際審査員チルドレン部門長編グランプリ:
『ルシアの祈り~メスキートの木の奇跡~』(監督:アナ・ラウラ・カルデロン/メキシコ)
【監督コメント】
キネコに参加させていただいたこと、ワクワクし嬉しく思いました。賞をいただくということは映画制作者にとって大事なことです。そして世界の人に伝わることを嬉しく思います。ヨルメ族の人々も嬉しく思っていると思う。皆さんと一緒にまた映画を観れる日が来ることを願っています。
国際審査員日本短編グランプリ:
『ワルツ』(監督:宮澤真理/日本)
【監督コメント】
賞をいただきとてもうれしいです、光栄です、ありがとうございます。どうしてさっきまで仲の良かった人が、喧嘩をしてしまうのか、というところからこの作品は生まれました。色々な事があったのに映画祭を開催してくださった皆さま、ありがとうございました。
国際審査員ティーンズ部門短編グランプリ:
『Shower Boys』(監督:クリスティアン・ゼッターベリ/スウェーデン)
国際審査員ティーンズ部門長編グランプリ:
『藍に響け』(監督:奥秋泰男/日本)
CIFEJ(国際子ども映画連盟)賞:
『君がいる、いた、そんな時。』(監督:迫田公介/日本)
【監督コメント】
僕たちの関係者の皆さんにも、おめでとうございますを言います。人はそれぞれ違っていても、みんな同じ。悲しいなと思ったり楽しいなと思うことはみんな、同じなんだと思います。辛いと思う時も一緒だったり共有することで優しい気持ちになれるのではないかなと思います。
世田谷区賞:
『アクセプト』(監督:楊翔安/日本)
【監督コメント】
世田谷区賞の受賞、とても光栄に思っております。
本作を観て何かを受け取ったり、気づきのきっかけになってくれたら嬉しいです。
<国際審査員>
審査員長:立本倫子(日本・絵本作家)
ゲルト・ヘルマンス(ベルギー/ヨーロッパ子ども映画協会事務局長)
ディミトリオス・スパイル(ギリシャ/オリンピア子ども若者映画祭創設者兼アーティスティックディレクター)
ジョアン・ブルワン(カナダ/FIFEM CEO兼アーティスティックディレクター)
グオ・ワンリン(台湾/Public television servise(台湾)国際部ディレクター)
へイレイン・ラウ(オランダ/cinekid CEO)
ミヒャエル・ハーバウアー(ドイツ/シュリンゲル子ども国際映画祭創設者兼ディレクター)
ジテンドラ・ミシュラ(インド/SIFFCYフェスティバルディレクター)
「キネコ国際映画祭」
戸田恵子さんがジェネラル・ディレクターを務める日本最大規模の子ども国際映画祭『 キネコ国際映画祭 』。今年の「28thキネコ国際映画祭」は、世田谷区二子玉川のiTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ、109シネマズ二子玉川をメイン会場に、3月18日(金)~3月22日(火)の期間で開催した。