第74回カンヌ映画祭で「名誉パルム・ドール」を受賞した女優ジョディ・フォスター。フォスターは授賞後に行われたディスカッションで、今まで多くは語られてこなかった俳優人生を振り返った。業界における女性に対する意識の変化についても語っている。
3歳から俳優としてのキャリアをスタートし、子役として活躍していたフォスターは、1976年、その当時13歳にして娼婦を演じたことが話題となり、マーティン・スコセッシ監督作品『タクシードライバー』でアカデミー助演女優賞にノミネートされた。その後、20代に『告発の行方』(1988年)と『羊たちの沈黙』(1991年)で2度のアカデミー主演女優賞を受賞し、現在もハリウッドで活躍し続ける大女優のひとりだ。そして、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが共演した『マネーモンスター』(2016年)で監督を務めるなど、ハリウッドで輝かしいキャリアを誇る。
https://www.instagram.com/p/CRBqlTjIiJS/
「映画界の変革の瞬間」初めて訪れたカンヌ映画祭を振り返る
現在開催中の同映画祭オープニングセレモニーでは流暢なフランス語を披露したフォスター。名誉パルム・ドール授与式でスペインの名匠ペドロ・アルモドバル監督は、「『タクシードライバー』の小さなアイリスが、あなたのような女性になるとは誰が想像できたでしょうか」と当時を懐かしむように振り返った。フォスターも、1976年にパルム・ドールを受賞した『タクシードライバー』で初めてカンヌを訪れた時のことを振り返り、13歳だった彼女にとってその経験がどのようなものだったかを語った。その当時、愛犬のヨークシャー・テリア、ナポレオンを亡くしたばかりで悲しみに暮れていた時期だったと明かした。
「複雑でした。大勢の人と一緒にいるのはストレスでしたが、カンヌを訪れたことはとても意義のあることだという印象を受けました。『タクシードライバー』は、映画界の変革の瞬間だと認識していましたし、出演できたことをとても誇りに思っています。」と語った。
https://www.instagram.com/p/b9oe3NEEip/
女性と暴力を描いた問題作『告発の行方』公開時の人々の反応
フォスターは、自身初のアカデミー主演女優賞を受賞した『告発の行方』について振り返った。同作は、その当時アメリカの社会問題の一つとなっていたレイプをテーマにした社会派映画で、フォスターは被害者の女性で主人公のサラを熱演した。
「その当時と現在では状況は変わったと思いますが、当時この映画を制作したときにも、“彼女はスカートを履いていたのだから、レイプされるのは当たり前だ”と言う人たちがおり、とても苦労しました。私が演じたキャラクターの演技についても“まあ、普通だよね”と評価する批評家もいました。映画の世界では『告発の行方』は、女性と暴力について語られるようになった基準になっていると思います。」と語った。
https://www.instagram.com/p/CQ_vPrRoB2k/
「この10年で業界は大きく変わった」映画業界での女性に対する意識の変化
50年にわたりトップ女優として活躍してきたフォスターは、映画業界における女性に対する意識の変化について語った。
「私が映画に出演し始めた当時は、母親役の人やメイクをする人、脚本家以外の女性をこの業界で見たことがありませんでした。女性監督もいませんでしたし、なぜ女性のために道が開かれていなかったのか、その当時はわかりませんでした。それは意識的なものではなく、一種のプロファイリングだったと気づきました。スタジオのチーフの中には女性もいましたが、彼らは男性の監督を選んでいました。意図的ではなく、女性はリスクがあると考えられていたのです。それが、この10年で大きく変わったのです。今こそ女性がビジネスに参入するチャンスです。完全には変わっていなくても、目覚めはじめています」と話した。
https://www.instagram.com/p/CQ_GmVRgZYs/
最も影響を受けた監督はデヴィッド・フィンチャー!
フォスターは、マーティン・スコセッシ、スパイク・リー、クロード・シャブロル、ジャン=ピエール・ジュネ、ジョナサン・デミ、ニール・ジョーダンなど多くの映画監督ともに仕事をしてきたなかでも、『パニック・ルーム』(2002年)の監督デヴィッド・フィンチャーが大きな影響を与えてくれたと語っている。
「私のキャリアは、まるで大きな映画学校のようでしたね。特に多くのことを教えてくれたのはデヴィッド・フィンチャーでした。技術的なことはもちろんですが、彼はそれが良くとも悪かろうとも独自のビジョンを持っていました。」と語った。
https://www.instagram.com/p/CQ_mhA1oPmb/
今後マーベル作品に出演する可能性は……⁉︎
2018年にはスーパーヒーロー映画を痛烈に批判していたフォスターも、近年大躍進を続けるマーベル映画の制作について意欲的であることを明かしている。
「マーベル作品に参加してみたいですね。マーベル映画は素晴らしいものばかりです。誰でもそのチャンスはあると思っています。私たちは皆違うのですから。」と語った。
ジョディ・フォスターの今後の活躍に期待したい!