映画『すくってごらん』は、とある失敗で左遷されたプライドは高いがネガティブな銀行員・香芝誠が、都会から遠く離れた地で出会った「金魚すくい」を通じて、思いもよらない成長をしていく物語。香芝を演じるのは映画初主演の尾上松也。彼が一目ぼれする美女・吉乃を初のヒロイン役となる百田夏菜子(ももいろクローバーZ)が務める。
原作は世界初の金魚すくいマンガにして、<このマンガがすごい!>にもランクインした傑作マンガ「すくってごらん」(大谷紀子/講談社)。メガホンをとったのは、長編デビュー作『ボクは坊さん。』(2015年)で高い評価を受けた俊英・真壁幸紀。原作と同じ奈良県を舞台に「和」の世界と斬新な映像表現を融合させ、大胆かつ優雅、そして華麗なるエンターテインメントを誕生させた。
香芝誠と生駒吉乃の切ない恋心を描いた特別映像が解禁!
左遷の地で仕事一筋で生きていくと決めたはずの香芝だが、吉乃への想いがあふれ夢になったかのような、ふたりのデュエットシーンから始まる。電話ボックスの外にいる香芝と中にとじこもっているかのような吉乃が見つめ合い、手のひらを重ねながら歌う曲は「鼓動の理由」。百田はこのシーンについて「男性の方と声を重ねる機会があまりないので、すごく新鮮でした。松也さんの声と自分の声が重なるのも、実際にやってみないとどうなるかわからなかったですし、合わさったときにこんなふうにひとつの声になるんだとすごく感動しました」と振り返る。やがて香芝が吉乃の手をとって外へ連れ出すが、幻想的でロマンチックなだけでなく、切なさを感じるのは、メロディーはもちろんだが、王寺昇(柿澤勇人)を見つめ涙を流す吉乃、それを見てしまう香芝の姿や、王寺を睨みつける香芝から、3人の関係が見え隠れするからだろう。
ほぼピアノを触ったことのなかった百田夏菜子が、ピアノ演奏に挑戦!
一方、現実では、「好きになってくれはったんですね?」という吉乃の言葉に動揺する香芝。彼女のピアノを弾く姿や出会ったときからの表情のひとつひとつに反応し想いが募っていくが、その想いは届くのだろうか?吉乃の想いは一体、どこにあるのだろうか?吉乃がピアノで弾いている曲は「小赤」。百田自身が演奏した音が使われており、初披露となる。香芝が吉乃の演奏に見惚れてしまう、という説得力があるアレンジが重要だったため、ほぼピアノを触ったことのなかった百田にとっては難しい曲となったが、真壁幸紀監督は「そこに妥協しなくて、心から良かったな、と思います」と見事な演奏をみせた百田に称賛の言葉を贈っている。
その後に続く「この世界をうまく泳ぐなら」は2曲目の「小赤」とメロディーは同じだ。この曲は本編では香芝と吉乃、王寺昇の3人が歌うが、今回の映像では香芝と吉乃の歌唱部分が流れている。さらに「この世界を~」の香芝のソロ部分の「語れ そっと 恋を」という歌詞部分もポイント。 「小赤」とのアレンジの違いと詞を楽しんでほしい。 最初は敬遠していた金魚すくいを楽しむ香芝とそれを見つめる吉乃。吉乃は振り向いてくれるのか? Be my valentine(私の特別な人になって)……で終わる本映像。はたして香芝と吉乃の恋のゆくえは?
本作は、そんな恋模様を、シリアスなシーンだけでなく、あるときはポップに描き、あるときはコメディにまで昇華させている。同じメロディーでアレンジが違う曲が多くあり、詞や曲調の変化から物語をより一層感じとれるようになっている。
音楽を担当したのは、東方神起やAAA、Every Little Thing含め数多くのアーティストに楽曲提供する音楽プロデューサーの鈴木大輔。 映画1作まるごとの制作は今回が初めてだったが、大きな役割を担い、眩いばかりの存在感を見せる音楽にぜひ注目してほしい。
『すくってごらん』は、2021年3月12日(金) TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国公開
『すくってごらん』
大手メガバンクのエリート銀行員・香芝誠は、些細な出来事がきっかけで左遷され、荒んだ気持ちを抱えて東京本店から片田舎の町へやってきた。そこで偶然かつ運命的に、金魚すくいの店を営む美女・吉乃と出会い、一目ぼれをする。持ち前のネガティブな性格と左遷のショックから、香芝は心を閉ざし仕事だけを生きがいにしようと心に決めながらも、吉乃の事が頭から離れない。何とかお近づきになろうとするが、秘密を抱える吉乃の心もまた閉ざされたままだった。果たして、香芝は金魚のように彼女の心もすくうことはできるのか―?
制作年: | 2021 |
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監督: | |
脚本: | |
音楽: | |
出演: |
2021年3月12日(金) TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国公開