イギリス人作家のウィリアム・ボイドが、『007』シリーズ(1962年〜)のスパイ、ジェームズ・ボンドの自宅を特定したことを、英国の文芸週刊誌TLSにて発表した。
2013年に「007」シリーズの続編小説「Solo(原題)」を出版したボイド氏。同作品の執筆にあたり、「007/サンダーボール作戦」(1961年/早川書房)、「007/ムーンレイカー」(1955年/東京創元社)などの作家、イアン・フレミングによる原作小説を再読。小説にあるヒントを手がかりに「ボンドが住んでいたのは西ロンドンのチェルシーにあるウェリントン・スクエア25番地である」と発表した。
ボイドは、「007/ムーンレイカー」でボンドの家が「キングスロードから外れた広場にある快適なフラット」であるとフレミングによって表現されていると説明。「007/サンダーボール作戦」では、ボンドが「スローン・ストリートを車で走り抜け、ハイド・パークに向かう」という記述があることから、ボンドはウェリントン・スクエアに住んでいると結論づけたという。
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過去にもウェリントン・スクエアにボンドの家があるという発表はあったものの、25番地であるとしっかり番地まで特定されたのは今回が初めてのことだ。ボイドは、フレミングの当時の交友関係も推理に加味したという。
フレミングが英サンデー・タイムズ紙の外国紙部門のマネージャーをつとめていた頃、ウェリントン・スクエア25番地には、同紙の書評家であり、ブルームズベリー・グループの第一人者でもあるデズモンド・マッカーシーと妻モリーが住んでいた。
「マッカーシー夫妻はエンターテイナーとして知られており、彼らの家は一種のサロンになっていた。フレミングは夫妻のパーティーにたびたび参加していた。」とボイドは語った。
昨年売りに出されたロイヤルアベニューの家を含め、過去にボンドの自宅だったと主張する場所はかなりの数にのぼる。真実はいかに……。マティーニ片手に(もちろんシェイクで!)『007』シリーズを改めて観直しながら、思いを馳せてみるのも楽しいかもしれない。