1968年の公開以来、多くの映画ファンに永く愛され続ける『猿の惑星』シリーズ。今なお人気が衰えないのは、ルパート・ワイアット監督やマット・リーヴス監督の手により2010年から公開されたリブートシリーズのおかげかもしれない。
2020年の初めに『猿の惑星』の続編となる最新作の新監督として、『メイズ・ランナー』シリーズ(2014年〜2017年)のウェス・ボールが抜擢されたのは記憶に新しい。新作の最新情報やその想いについて、ウェスが米Discussing Filmのインタビューに答えた。
Zoom会議で最新作の脚本を執筆中!
現在の歴史的一大事に巻き込まれているすべての人に、心より同情している。何十年も後には、今回の出来事が学校で教えられていることだろう。僕はこの機会を最大限に利用して、僕たちが生きている今を理解しようとしているよ。僕は皆さんに“現実逃避”の機会を与えるエンターテイナーであり、ストーリーテラーであると考えている。そのことが僕自身のモチベーションになっているし、僕に与えられた使命だと思っているんだ。
Someone commented that almost everything I've worked on has been some version of a viral outbreak that destroys the world. And that’s not including what is next…
— Wes Ball (@wesball) May 20, 2020
There might be something wrong with me. 🤔 pic.twitter.com/jp0LhhZZIh
今、『猿の惑星』続編の制作は中断している。でも実は、脚本の執筆はこれまでにない特殊なやり方で進みはじめているんだ。新型コロナウイルスが感染拡大する何週間も前から、脚本家のジョシュ・フリードマンとはZoomで打ち合わせをしているよ。すでにZoomで脚本について話すのが日課になっている。“密にコミュニケーションを取る”という意味では、オンラインでも何も変わっていないのかもしれないね。
この難しい状況の中、僕自身なぜか信じられないほどアイデアがあふれてくるんだ。ずっと外出自粛をしてるせいかな? あと、自宅以外に逃げる場所があるのもいいのかもしれない。脚本家仲間のT・S・ノーリンと共有しているロフトがあって、そこは家から離れてクリエイティブな仕事をするためのちょっとした隠れ家なんだ。そこではたくさんのインスピレーションを受けているよ。
今回の経験を経て、Zoom通話とFaceTimeのチャットは、会議のためだけに1時間もドライブする必要がないことを実証してくれたと実感している。パジャマ姿で会議するのも全然アリだと思う。今置かれているこの瞬間や経験が、将来の僕たちのビジネスを大きく変える機会になると思うよ。
『猿の惑星』新作はバーチャル制作に⁉︎
これまでのやり方での制作は中断しているけど、新しい『猿の惑星』のプロジェクト自体は少しずつ進んでいると感じている。美術チームが信じられないようなコンセプトアートを制作しているんだ。少し時間がかかっているけど、脚本の執筆も進んでいる。映像は大部分がCGになるから、この調子でいけば、きっとすぐにバーチャルで制作に入れると思っているよ。
ディズニーによる20世紀FOX買収の影響は?
(ディズニー傘下で『猿の惑星』を制作することについて)素晴らしいと思ったよ。ディズニーは素晴らしいマーケティング能力がある。映画を配給したり、テーマパークなどで収入を得たり。全体的な戦略が、よく考えられたひとつのストーリーになっていて、細部まで完璧にやり遂げられているところに凄みがある。そんな組織に加わると想像しただけで、すごくワクワクしたよ。
ただ、FOXとディズニーは2つの巨大な生物のようなもので、文化が全然違うんだ。今回の買収はいわば結婚みたいなもので、ひとつの家族になる方法を見つけなければならないんだ。一朝一夕にできることではないと思うよ。全体的には良い方向に進んでいると思うんだけど、僕が個人的に親しい人たちの間でも、多くの組織の大改造があった。それによって多くの人が辞めてしまい、事実上FOXは解散してしまったんだ。僕の『メイズ・ランナー』シリーズはFOXでの制作だったから、僕は重役からマーケティング、配給部門に至るまで全員を知っていたんだけど、今では全てが揺らいでいるとも感じるよ。
初代『猿の惑星』、リブートシリーズ、そして新作へとつなげる想いとは?
新作を作る上での大きな課題は、『猿の惑星』の続編で何をするか? ということだった。前回の『猿の惑星』リブートシリーズは、現代の映画史に残る偉大な三部作のひとつだと思う。チャールトン・ヘストン主演のオリジナル映画を尊重しながらも、現代的な感覚に合わせてとても上手くできていた。シーザーは、時代を超えた偉大なキャラクターのひとつだと思う。だから、それをうまく続けるにはどうしたらいいのか深く考えたんだ。単なる続きの“パート4”をやりたいとはまったく思わなかった。僕らにできることをしたい。前に作られた世界観の中にとどまる方法もあるけれど、新しいクールなことに目を向けていたい。
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でも同時に、リブートされた3作品のファンの皆さんにも、どうかご心配なく! とお伝えしたい。『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』で脚本を担当したリック・ジャッファ&アマンダ・シルヴァーがもちろんプロジェクトに参加しているし、脚本はジョシュ・フリードマンが書いている。ほかにも以前からのスタッフが多く関わっている。
新しい作品は、リブート版三部作と一体だと感じられると同時に、とてもクールな新しい作品に仕上がるはずだ。可能な限り大きなスクリーンで観て欲しいし、その時を想像すると本当にワクワクするよ!