ジークンドー道場出身の猛者二人が設立!
正式名称<87イレブン・アクション・デザイン>は、いま現在、そしてこれからのハリウッド製アクション映画を担う最強の会社。その業務はいたってシンプルで、その名の通りアクションシーンのコーディネートから俳優の訓練まで、映画やドラマのアクションシーンに関することすべてを担うのだ。
そんな頼もしいにもほどがある会社を設立したのは、『ジョン・ウィック』(2014年)で共同監督として名を連ねたデヴィッド・リーチとチャド・スタエルスキ。ふたりはブルース・リーと共にジークンドーを生んだ武術家ダン・イノサントの武術・格闘技塾であるイノサント・アカデミー出身の超エリート。チャドに至っては90年代に日本の総合格闘技である修斗(当時はシューティングなどと呼ばれていた)の大会に出場。初の外国人選手として格闘雑誌でも取り上げられるほどの注目を浴びていたりと、かなり本格派の格闘家として活躍したという。
そんなふたりはイノサント・アカデミーを巣立ったあとにロサンゼルスで出会って意気投合。スタントマンとしてふたり仲良く映画界に突入し、チャドは『マトリックス』シリーズ(1999年~)などでキアヌ・リーヴスのスタントダブルとして、デヴィッド・リーチは『ファイト・クラブ』(1999年)などのブラッド・ピットのスタントダブルとして徐々に頭角を現していく。
アクションのことなら任せろ! な頼もしさでハリウッドを席巻
そして2006年、87イレブン・アクション・デザインを設立。世界中の武術を吸収して練り上げた実践的かつ見栄えのするカッコいいアクション製作を得意としていて、多くのスタントマンが所属し、監督もいて、振付師もいて……「アクションのことならおまかせあれ!」なスタイルでハリウッドを席巻。デヴィッド・リーチとチャド・スタエルスキは『ハンガー・ゲーム』(2012年)や『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)などの大作映画の第二班監督としてアクション演出を任されたりと、引っ張りだことなっていった。
※チャド・スタエルスキの第二班監督作品をまとめたもの
※デヴィッド・リーチの第二班監督作品をまとめたもの
ブルース・リーの遺伝子を受け継ぐ男たちが映画界を牽引
そんなふたりがようやく長編監督作デビューしたのが、『ジョン・ウィック』。これまで培ってきたすべてのアクションスキルをぶちこみ、キアヌを鍛えあげ、87イレブンメンバー総動員で作りあげた『ジョン・ウィック』は、すぐに世界中のアクション映画ファンを虜にし、87イレブンの名は映画業界のみならず世界中の映画ファンに知れ渡った。
その後も87イレブンの勢いは増すばかりで、デヴィッド・リーチは『アトミック・ブロンド』(2017年)と『デッドプール2』(2018年)を監督し、今後も『ワイルド・スピード』のスピンオフ『Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw(原題)』を監督。チャド・スタエルスキは『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年)と、先日予告編が公開された『ジョン・ウィック3:パラベラム』の監督、『ハイランダー/悪魔の戦士』(1986年~)のリメイク企画を準備中など、もうそれはそれはエラいことになっている。
なによりも、ブルース・リーの正統な遺伝子を受け継いだ男ふたりが、ハリウッドの第一線でアクション映画界を引っ張っているという、この事実! このロマン! アクション映画ファンなら参っちゃいますよね。
文:市川力夫
ジョン・ウィック
裏社会にその名を轟かせた伝説の殺し屋ジョン・ウィックは愛に目覚めて引退し、妻と共に平穏な日々を送っていた。だが妻が死亡し、その忘れ形見までもロシアン・マフィアの手によって散ってしまう。愛するものすべてを失ったジョンは怒りに身を任せ、たった1人で復讐に立ち上がる!
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
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