「初めて首の折れる音を聞いた」反ネオナチ映画『アメヒスX』が予見した分断と憎悪の現代社会

1998年『アメリカン・ヒストリーX』の衝撃
1998年公開の映画『アメリカン・ヒストリーX』が今、ふたたび注目を集めている。
本作はご存知の通り、白人至上主義やヘイトクライムをテーマにしたスリラー劇。エドワード・ノートン演じる主人公デレクが過激な思想に染まりながらも刑務所での経験を通じて改心し、かつての自分と同じ轍を踏もうとしている弟ダニー(エドワード・ファーロング)を救おうとするが……というストーリーだ。
社会の分断や憎悪の連鎖を鋭く描き出した『アメヒスX』。本作が再び注目されている背景には、我々の生きる2020年代の深刻な社会問題がドンピシャで関係している。

『アメリカン・ヒストリーX』
Blu-ray ¥2,381+税/DVD ¥1,429 +税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
©1998 New Line Productions, Inc. All rights reserved.
『アメヒスX』が再び注目される理由とは
『アメヒスX』で描かれた白人至上主義の台頭は、アメリカを筆頭に現実のものとなっている。本作がホワイトナショナリズムの復活を予見していたと評するのは英BBC。ここ十数年で主にネットを通じて極右思想がじわじわ広まり、家庭や生活に問題を抱え社会から阻害されているように感じる白人男性たちを蝕み、主流政治にまで影響を与えている現状は、たしかに本作が描いた世界と重なる部分がある。

『アメリカン・ヒストリーX』©1998 New Line Productions, Inc. All rights reserved.
ほか英国メディアでも本作が極右思想の主流化を示唆していた点を指摘。劇中で描かれる憎悪による言動が現代社会ではより広範囲に受け入れられるようになり、政治的な議論の中に露骨に組み込まれるまでになってしまった。

『アメリカン・ヒストリーX』©1998 New Line Productions, Inc. All rights reserved.