大胆仮説をぶちあげるポリティカル陰謀劇
1963年、元CIA高官ファーリントンの呼びかけでタカ派の政財界の大物が集まった。彼らはケネディ大統領が推進するリベラルな政策に危機感を抱き、彼の暗殺を計画。暗殺グループを結成すると同時に、カムフラージュとして元海兵隊員のオズワルドという男を犯人に仕立て上げようとする――。
『ダラスの熱い日』――「暑い」ではなく、「熱い」である。いまだ多くの謎に満ちたケネディ大統領暗殺をテーマにした映画は多い。しかし本作は、例えばオリバー・ストーン監督の3時間超えの大作『JFK』(1991年)はちょっとしんどかった……という人にこそオススメしたい、ドキュメンタルな事実考証と大胆な仮説で構成されたサクッと91分の“熱い”陰謀ドラマだ。
本作は1940~60年代にハリウッドの“赤狩り”のターゲットとなったダルトン・トランボの晩年の脚本作。主演のバート・ランカスターやウィル・ギアなど“ブラックリスト”に入れられていた反戦の士が多く関わった作品でもあり、実際ギアらの出演はトランボからの要望でもあったという。
Tonight at 8pm The @SMUJonesFilm presents an archive 35mm print of the 1973 Warner Bros Studio released JFK conspiracy oddity EXECUTIVE ACTION – starring Burt Lancaster & Robert Ryan. Written by famed and de-famed legendary blacklisted writer #daltontrumbo ! @WarnerArchive pic.twitter.com/OaVZKTNYBc
— TexasTheatre (@TexasTheatre) November 18, 2018
なにしろ実際の写真や映像が盛大に使用されるので、よく(当時の状況で)許可が下りたな……という驚きもあるが、やはり信憑性の部分が問題視されたのか即座に劇場公開が中止され、その後80年代に入るまでTV放送もされなかったそうだ。
ちなみエンドロールでは「ケネディ大統領とオズワルドの死後、3年の間に重要証人18人が死んだ」とナレーションが入る(そんな確立は10京分の1だ、という報告)のだが、銃撃や交通事故、病死、自殺や他殺などに混じって「首に空手チョップ」という驚きの死因がナチュラルに語られ、最後の最後にリアクションに困らされるのであった。
『ダラスの熱い日』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2025年3月放送