ボン・ジョビ登場にびっくり!「善意の拡散=ペイ・フォワード」を実践した少年の感動物語『可能の王国』

恩を恩で返す概念「ペイ・フォワード」
未曾有のパンデミックから表面化した社会の分断は深刻化し、その混沌が世界中でさらなる課題を生んでいる。富めるものはますます肥え太り、一方で弱者が弱者に手を差し伸べざるをえない極限状態。光の見えない状況で今、私たちは何をすべきか?
今から半世紀近く前に、そんな世界に希望をもたらすかもしれないアイデアが一つの小説になった。その物語を原作とする映画『ペイ・フォワード 可能の王国』(2000年)で描かれるのは、ある少年が提案した“親切の輪”が、次第に人々を癒やしていく……という感動のストーリーだ。

『ペイ・フォワード 可能の王国』© Warner Bros. Entertainment Inc. & Bel Air Pictures LLC
あのマーク・ラファロも実践した? 誰にでもできる「恩送り」
この「ペイフォワード(Pay it Forward)」は連続的互恵性とも言われ、文字通り“他者から受けたさまざまな親切に対して、それと同じか同程度のものを他の誰か返す”ことを意味する。この概念自体は1900年代初頭から存在し(紀元前からあるという説も)、ロバート・A・ハインラインの小説「栄光の星のもとに」(1951年)で使用されたことで“恩返しのフレーズ”として広まった。
旧約聖書にも「恩返し」にかんする記述があるため過去に多くの人が引用してきた概念であり、日本でも江戸時代から「恩送り」という言葉が使われている。また、マーベル・コミックの一遍ではスパイダーマンが悩めるハルクに親切を与え、それを見知らぬ老人に返す(その老人は以前ピーター・パーカーに親切を与えていた)という描写があった。
ペイフォワード運動はコロナ前にも、アメリカで“コーヒー店で次の客の代金を払う”という行為が広まったことが話題になった。これにいち早く反応したのがMCUでハルクを演じている俳優マーク・ラファロで、彼はSNSにギフトカードのコードを投稿。見知らぬ多くの誰かのコーヒー代を肩代わりし、この輪を広げようと訴えかけた。今も紛争地域等への支持・支援を表明するラファロらしい行為である。
I was so inspired by your generous spirit during the #PayItForwardChallenge last year that I want to do it again this holiday season! Enjoy a drink on me this morning. I encourage you to add on to this gift card or start your own ☕️ pic.twitter.com/weMhCsBjaR
— Mark Ruffalo (@MarkRuffalo) December 19, 2018