「国民の4分の1=約200万人を虐殺」その現場を取材した記者の実話を映画化『キリング・フィールド』

「国民の4分の1=約200万人を虐殺」その現場を取材した記者の実話を映画化『キリング・フィールド』
『キリング・フィールド』© Goldcrest Films and Television, Ltd.

カンボジアで起こった大虐殺

隣国韓国で起こった非常戒厳令、つまり大統領によるクーデター未遂が世界中に衝撃を与えた。それと並列で語れるわけではないが、当然ながら今この瞬間にも「さらに深刻な状況」に陥っている国があり、日々命の危機に見舞われる生活を強いられている人々がいる。

過去を振り返っても、耳を疑うような非人道的な弾圧が世界中で繰り返されてきた。そのなかの一つが「カンボジア大虐殺」で、1970年代の後半に150~200万人がカンボジアの武装組織によって殺害された。これは当時の同国の人口の約4分の1にあたる犠牲者数だという。

そんな歴史的事件、大犯罪をテーマに映画化しアカデミー賞3部門に輝いた映画が『キリング・フィールド』(1984年)。カンボジア内戦を取材するアメリカ人記者と現地人助手の国境を超えた友情を描く人間ドラマで、実際の記者の残した手記が物語のベースになっている。なおタイトルの“キリング・フィールド”とは、大量虐殺が行われた刑場跡の俗称。

『キリング・フィールド』© Goldcrest Films and Television, Ltd.

演技未経験の医師がアカデミー助演賞を獲得の名演

1973年、内戦下のカンボジアに乗り込んだニューヨーク・タイムズの記者シャンバーグ。現地ではカンボジア人のプランが助手を務めることになる。やがて革命派のプノンペン進攻が迫り、米国軍は撤退。シャンバーグは妻子を米国へ逃がしたプランと共に現地に残り、取材活動を続けていくが……。

『キリング・フィールド』© Goldcrest Films and Television, Ltd.

インドシナ戦争の終結をきっかけに興ったポル・ポト政権による恐怖政治。1975年の政権樹立によってカンボジア全土が文字通り強制収容所と化し、この悪政はベトナム軍の介入によって崩壊するまで4年近く続いた。

『キリング・フィールド』© Goldcrest Films and Television, Ltd.

本作のモデルとなった記者シドニー・シャンバーグは、当時のカンボジアを取材しピューリッツァー賞を受賞。そして劇中でカンボジア人の助手プランを演じたハイン・S・ニョールは同国で実際に迫害を受けていた医師であり、演技経験は皆無だったがアカデミー賞で助演男優賞を受賞した。誰も文句が言えない名演だったが、残念ながらニョールは1996年に自宅前で何者かに撃たれ亡くなっている。

『キリング・フィールド』© Goldcrest Films and Television, Ltd.

『キリング・フィールド』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年12月放送

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