「パパ、僕だよ!」人間界に戻ったバカデカエルフ
赤ん坊の頃、偶然サンタクロースの袋に紛れ込んだバディは、そのまま北極でエルフとして育てられた。数年後には、エルフの倍以上のサイズに成長。そしてサンタから、自分が人間であることを知らされたバディは本当の父親に会うため、ニューヨークへと向かうが……。
クリスマスシーズンには毎年観返すという熱烈なファンもいる『エルフ』は、いまだにホリデーシーズンになると関連グッズが売り出されるほどの定番作品。2020年のコロナ禍における再上映措置では全米興収の3位に躍り出るなど、根強い人気を証明した。
そんな本作の見どころは、やはりウィル・フェレル演じる主人公バディのおもしろ挙動(と衣装)である。赤ん坊の頃以来の人間界にはしゃぐバディを観ているだけで幸せな気分になるし、現実にはありえないことだが、彼くらいピュアでありたいとすら思ってしまう。
そのピュアっぷりにアテられるのがズーイー・デシャネル演じるジョビで、ほのかな恋の行方も見どころとなっている。なお本作は遠近法を多用するなどCGを極力避けていて、安っぽさやグラフィックのショボさにガッカリすることがないのも好ポイントだ。
大爆笑&ドン引きからの、ほっこりクライマックス
最初は変人扱いされているバディだが、その天真爛漫さで人々のハートを掴んでいく。このあたりの展開はお約束とも言えるが、実践しているのがウィル・フェレルなので何もかもが過剰に面白い。
そのハチャメチャぶりを重厚な存在感で支えるのが、バディの実父ウォルターを演じる名優ジェームズ・カーン。いきなり「息子だよ!」と現れたエルフ衣装のデカいおっさんを「はいそうですか」と受け入れられる人はいないと思うが、まさにその通りのドン引きリアクションで笑わせてくれる。
さらに『カールじいさんの空飛ぶ家』でも知られるエドワード・アズナーや、大御所コメディアンのボブ・ニューハートらもノリノリで登場し、ニヤニヤが止まらない。監督は、のちに『アイアンマン』(2008年)を大ヒットさせるジョン・ファヴロー。センス抜群のおっさんたちが作り上げたクリスマスコメディの面白さは20年を経ても薄れることはなく、感涙のクライマックスと共に「クリスマス最高!」という気分にさせてくれるのだった。
『エルフ ~サンタの国からやってきた~』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:映画と過ごすクリスマス」で2024年12月放送