「27歳でアルコール中毒死」天才的“歌姫”の壮絶半生を描く『Back to Black エイミーのすべて』

天才歌姫の突然すぎる死
グラミー賞5部門を受賞し、「21世紀を代表するアーティストの1人」と世界的に称賛されたエイミー・ワインハウス。世界中で3,000万枚以上のレコードを売り上げ、現在でも月間8,000万回以上のストリーミング再生数を誇る現代最高の歌姫だが、そういった数字だけでは計れない魅力が人気の根底にあったようにも思う。
しかしデビューからエイミーを見てきたファンにとって、晩年のパフォーマンスは思い出すだに心が痛むものだ。2011年、死の1ヶ月前に開催されたベオグラードでのコンサートでエイミーは、ふらふらとステージに表れ、所在なさげにうろうろとし、バンドメンバーに促されてマイクにたどり着く……。その様子は、明らかに薬物かアルコールの影響下にあるように見えた。検視官によると、彼女の死亡時の血中アルコール濃度は法定基準の5倍を超えていたという。
彼女の半生については、2016年にドキュメンタリー映画『AMY エイミー』が日本公開されているので、その最期を知る人も多いだろう。そして本作『Back to Black エイミーのすべて』は、若くして脚光を浴び、突然の名声に戸惑いながらも、感情むき出しの歌詞に独特のいハスキーボイスで本能のままに歌い続けたエイミーの知られざる素顔に迫る、音楽伝記映画に仕上がっている。

『Back to Black エイミーのすべて』©2024 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.
エイミー役を熱演した新鋭マリサ・アベラに注目!
すでに公開済みの世界各国で本作が絶賛されている理由の一つに、キャストの熱演がある。エイミー役を演じるのは奇しくも現在27歳のマリサ・アベラ。英ドラマ『インダストリー』シリーズでメインキャラクターを、そして大ヒット作『バービー』ではガツンとウェーブ巻きブロンドの“ティーン・トーク”バービーを演じていた、今まさにブレイク中の若手スターだ。マリサは当時ゴシップ誌が書き立てたような“放蕩ぶり”ではなく、一人の女性としてエイミー自身を魅力的に演じている。

『Back to Black エイミーのすべて』©2024 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.
脇を固めるのは、ジャック・オコンネルやエディ・マーサン、ジュリエット・コーワン、ゴールデン・グローブ賞&アカデミー賞ノミネートの名優レスリー・マンヴィルなど、幅広い世代の英国実力派キャストたち。そして『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(2015年)で世間の物議を醸し、長編デビュー作『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(2009年)の主演アーロン・テイラー=ジョンソンとの年の差婚でも話題を集めたサム・テイラー=ジョンソン監督が、やさしい眼差しでエイミーとその家族を描き出している。
『Back to Black エイミーのすべて』は11月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国ロードショー