異色ロマンス映画?『セイフ ヘイヴン』
アメリカの作家ニコラス・スパークスは恋愛映画ファンから大きな信頼を得ている“原作者”だが、かなり好みの分かれる作家でもある。代表作は言わずもがなの『きみに読む物語』(2004年)。あのニック・カサヴェテス監督がライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムスを主演に迎えたロマンス映画で、ご存知の通り日本でも非常に人気が高い名作ロマンスだ。
しかし、今回紹介したい“スパークス原作映画”は、あの『ギルバート・グレイプ』(1993年)のラッセ・ハルストレムが監督を務めた『セイフ ヘイヴン』(2013年)。『バーレスク』(2010年)や『ロック・オブ・エイジズ』(2012年)などミュージカル系映画で知られるジュリアン・ハフと、『トランスフォーマー』シリーズ(2007年ほか)のジョシュ・デュアメルが主演を務める。
スパークス映画は今をときめく俳優たちの出世作にもなってきたので、本作も良い意味でベタな恋愛ドラマを期待して劇場に足を運んだロマンス映画ファンも大勢いただろう。ところが本作はスパークス映画の中でも異色の(?)作品で、もしSNSがもっと普及していたら全国に「ざわざわ」が拡散されたであろう衝撃作なのだった。
流れ者のワケアリ女性と、妻を亡くしたシングルファーザー
米ノースカロライナ州の素朴で美しい港町サウスポートに、1人の女性が長距離バスから降り立った。ケイティと名乗る彼女は、海辺のレストランに仕事を見つけ、森の中のキャビンでひっそりと新生活を始める。どうやら望んで放浪生活をしているわけではなさそうで、隣人との交流にも慎重な様子から、かなりワケアリな状況のようだ。
サウスポートで雑貨屋を営むアレックスは2人の子どもを持つシングルファーザーで、病により妻を亡くしていた。車を持たず不便そうなケイティを見かねて何かと親切を焼くアレックスだったが、彼女はなかなか心を開かない。一体彼女は何に怯えているのか? すったもんだがありつつ、なんだかんだ交流を深めていく2人だったが……。