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「立てこもり強盗事件」現場に居合わせた記者は、なぜ犯人と心を通わせたのか?結末に絶句する『マッド・シティ』の衝撃

「立てこもり強盗事件」現場に居合わせた記者は、なぜ犯人と心を通わせたのか?結末に絶句する『マッド・シティ』の衝撃
『マッド・シティ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
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巧みな脚本と魅力的なキャラクター

ストーリーの大筋は斬新なものではないが、お察しの通りキモとなるのはトラヴォルタ=サムではなくホフマン=マックスの言動だ。彼の立ち回りが聴衆の関心をコントロールし、状況(サムに対する視聴者の印象)に合わせてプランを変えていく。そして多くのサスペンスがダレがちになる中盤過ぎにはマックスとサムがじっくり語り合うシークエンスを挟み、ぐっと感情移入させる。

『マッド・シティ』© Warner Bros. Entertainment Inc.

おそらくマックスの元ネタになったのは、ビリー・ワイルダー監督/カーク・ダグラス主演の『地獄の英雄』(1951年)だろう。落ち目の記者が田舎の新聞社でスクープを掴み再起を図る、という基本設定はほぼまんまだ。そしてダグラスが演じたクズ記者チャールズが最後に<心>を取り戻しかけたように、本作のマックスも邪悪な存在ではない。

地獄の英雄(字幕版)

PrimeVideo『地獄の英雄(字幕版)』

なぜ批評家の評価はイマイチだった? 今こそ響く普遍的な物語

90年代のアメリカでは印象的な強盗事件がいくつも起こった(映画公開の同年にもイリノイ州で長期間の立てこもり事件があった)。当時の批評家が本作にあまり注目しなかったのは、“最近よく起こってる事件をネタにした安直なスリラー”みたいな印象もあったのかもしれない。しかしそういった批評に時代のバイアスがかかっていたであろうことは、いま観ても響く普遍性を持っているこの映画自体が証明している。

良心を欠いたメディアスクラムは日本でも大きな問題となったが、反省するのは常に被害者が何年も苦しんだ後だ。はたしてマックスは本当に自分のキャリアにしか興味がないクソ野郎なのか? そしてサムはどんなケジメを取ることになるのか? ぜひTVで鑑賞して確認してほしい。

『マッド・シティ』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年11月放送

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