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外国人が感じた「違和感」とは
子どもを育てている独身女性をシングルマザーと呼ぶ。家族や友人など身近にシンママがいるという人は少なくないだろうし、自身がシンママ/シンパパ家庭で育ったという人もいるだろう。子持ちシングル世帯は現代の日本人にとって“珍しい”ものではなくなったが、その実情を把握している人は多くないはずだ。
「シングルマザー」でネット検索すると「生活保護」や「補助金」といった入力予測がずらりと並ぶことからも、その多くが困窮該当世帯であることがうかがえる。いまや共働き世帯が約7割という日本だからして、就労と養育のワンオペがいかに厳しいことであるのかも察しがつく。
児童扶養手当などの制度はあるが、それを掲げて“贅沢してるんだろう”とか“うちは普通に生活できている”といった苦言や中傷が投げつけられる状況は、正直言って異常である。私たちはいつから「蜘蛛の糸」のような奈落に落ち込んでしまったのだろうか――。
そんな状況を独自の目線で見つめた映画がある。11月9日から1週間限定でK’sシネマ新宿にて上映中の『取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境』は、世界各国の映画祭で17の賞を受賞し、国内外の様々な映画祭で23回の公式選出を果たしたドキュメンタリー。監督を務めたのはオーストラリア出身の元プロレスラー、ライオーン・マカヴォイだ。
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