日本映画界屈指の鬼才・石井裕也監督(『月』『舟を編む』)の最新作『本心』が、11月8日(金)より公開される。このたび、池松壮亮、三吉彩花、水上恒司、妻夫木聡らが“本心”を語る、スペシャル座談会映像が解禁となった。
“人間の存在”そのものを揺るがす問題作
原作は、映画化も話題となった「ある男」の平野啓一郎による傑作長編小説「本心」。キャストには、池松壮亮を主演に迎え、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子ら日本の映画界を牽引する豪華実力派俳優陣が集結した。
物語の始まりは2025年。亡くなった母の“本心”を知るためAIで彼女を蘇らせることを選択する青年・石川朔也と、彼を取り巻く人間の〈心〉と〈本質〉に迫る革新的なヒューマンミステリー。幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んだのか…母の本心を探るため、朔也は不安を抱えながらも、AIに集約させ人格を形成するVF(ヴァーチャル・フィギュア)を利用し、仮想空間に母を蘇らせる選択をする——。
妻夫木「言葉にならないことがあるから芝居をするし、映画も作る」
本作の大きなテーマのひとつとなる【AIの進化について】の問いでは、各々がAIとの関わり方や考えを展開。妻夫木は「人間の力を信じたいというのは根底にありますけどね。(AIの進化は)面白いと思いますが、AIは人間たちが考えていることの統計みたいなもの。その、すべての情報を集めた集合体が“壁”を超えることがこの先あるのかな…と少し怖くはなります」とAIの“陰と陽”への畏れを明かす。
池松は「これからの10年が人間とAIがどう共存していくか決まる最後のターンになると思う。不安がたくさんある」と語り、「(映画のように)人間をつくるということは、“越えてはいけない一線”ではないか?実際、韓国や中国では2Dで亡くなった人を蘇らせることは始まっていますし、日本もそう遠くないのかなと思った時に、技術がどのように使われてしまうのか楽観的に話せるものがない…」と表情を強張らせる。
また、モデルとしても活躍する三吉も「職業柄、人よりAIを使っている場面は多い。ボジティブな使い方だけれど慣れてしまっている自分もいて考えなければいけないなと思う」と不安も明かした。
さらに、タイトルにちなみ【人の“本心”がわかるか?わかってもらいたいか?】という問いに、妻夫木は「わからなくていいと思う。人がどうだ、と俺たちが定義するものでもない。本心をわかろうとしないことも、ある意味優しさだと思うよ」と答えると、水上も「自分のことすらわからない」と賛同。
その上で池松は、劇中で主人公が母親の本心を探る行為について、<母親ほどの身近な人の本心でさえ、分からないこと>を認識して、相手を理解しようとする主人公の誠実さに焦点を当てた。さらに、妻夫木は「人間ってはっきりできないものがあるから良い。嘘発見器で『はい~、嘘ついた!あなた犯人です!』みたいなことやれるわけないじゃない?(笑)言葉にならないことがあるから俺たち芝居をするし、映画も作るんじゃないかな。帰ってChatGPTで“なんで人間は映画を作るのか”って調べてみます(笑)」とおどけながらも熱い持論を展開。
映像の最後には、池松が「俳優って絶対“本心”を言わないですよね(笑)めちゃくちゃ嘘ついてますよね?俺だけ?(笑)」と切り出し、三吉と水上が「めちゃくちゃ嘘ついてます!(笑)」などと談笑する場面も収められ、他ではお目にかかれない“本心”トークを繰り広げた。
我々がかつて想像していたようなSFの世界ではなく、“日常”に溶け込んだ、今の生活と地続きの設定である本作。AIや仮想空間、日々著しく進化するテクノロジーが世界中を席巻し、生活様式が目まぐるしく変貌しているいま。時代に翻弄され彷徨う人間の〈心〉と〈本質〉を描いた革新的なヒューマンミステリー『本心』を劇場で見届けてほしい。
『本心』は11月8日(金)より全国ロードショー