“フランス映画界の至宝”カトリーヌ・ドヌーヴの最新作『ベルナデット 最強のファーストレディ』が、11月8日(金)より公開される。このたび、新場面写真とメイキング写真が解禁。さらに、カトリーヌ・ドヌーヴのインタビューが到着した。
“フランス映画界の至宝”カトリーヌ・ドヌーヴ主演
カトリーヌ・ドヌーヴが本作で演じるのは、実在する元政治家で“シラク大統領夫人”としても親しまれたベルナデット・シラク。本作では、1995年にシラクが仏大統領に就任してから、極右のジャン゠マリー・ル・ペンに勝って2期目を務めた2007年までの12年の間を描く。夫を大統領にするため常に影で働いて来たベルナデットは、家族や宮殿職員、世間からの軽視や悪評を覆すべく、華麗にして唯一無二の“復讐計画”に乗り出す。
名実ともにフランスを代表する俳優として、今なお第一線を走り続けるカトリーヌ・ドヌーヴ。近年では、『真実』『愛する人に伝える言葉』などドラマ作品の日本公開作が続くが、日本でもヒットした『しあわせの雨傘』を思わせる、彼女の本懐と言うべきコメディ作品に凱旋。ユーモアと貫禄たっぷりに“ベルナデット・シラク”を演じ切り、2024年リュミエール賞の主演女優賞にノミネートされた。「伝記映画には興味がなかった」と言い切った彼女を変えたのは何だったのか?レア・ドムナック監督、カトリーヌ・ルテリエら才能ある女性スタッフたち、魅力あふれるキャスト陣との協働について語ってくれた。
——このような役を演じられるとは意外でした。
たしかにそうです。私の最初の反応は「え? ベルナデット・シラク……?」でした。伝記映画には興味がありませんから。
——何がきっかけで、考えが変わったのですか?
レア・ドムナックとクレマンス・ダルジャンのシナリオが、本当に素晴らしく、とてもよく書けていて、すごく笑えたからです。その後、レアに会った時に、事実をそのまま映画にするのでも、ベルナデット・シラクに似せようとするのでもなく、ただ役の心を演じればいいのだということを、理解しました。シナリオを読んだことと、レアに会ったことで、考えが変わったんです。
——監督は、あなたがベルナデット・シラクとあなた自身の中間に位置する第三の人物を作ることに成功したと言っています。
どうやって、このような役の役作りをしろと言うのでしょう?ベルナデット・シラクの本は読みましたが、私にとってなにより重要だったのは、レアの視点です。だからただそれに従って演じました。私たちはシナリオを読み合わせ、一度だけでなく、何度も面会しました。信頼関係があれば、すべてはうまくいくものです。
——陽気で楽しそうな様子で役を演じていらっしゃいますね。
その点は何より、衣装デザイナー、カトリーヌ・ルテリエの才能のおかげです。他の人だったら、私が着る衣装に、たぶんもっとクラシックな色を選んでいたでしょう。彼女は逆に、映像を少し見ただけでも笑えるように、別のやり方を選びました。彼女はまさしくコメディの技術を持っています。ほんとうに大胆不敵な人で、彼女には正真正銘のビジョンがあります。
——ベルナデットはひどい扱いを受けますが、最終的にはやり返します。彼女はフェミニストになるのです。
ええ、もちろん。彼女は最初、何か行動を起こす前には夫の許可を得なくてはならないのだと顧問のニケに言いますが、その後は自由で、非常に大きな活動をするようになります。こうして彼女はリベンジを果たし、自分の地位を確立するのです。
——コメディはあなたが特に好むジャンルですね。
仕事と厳格さ、そして脚本がもっとも要求されるジャンルでもあります。また、キャスティングもかなり重要です。テンポに対する、鋭い感覚を持った俳優が必要ですが、レアが選んだ役者はみなすばらしい人たちでした。彼らと仕事ができてほんとうに嬉しかったです。初めての共演でしたが見事な演技のドゥニ・ポダリデス、ミシェル・ヴュイエルモーズ、とても存在感のあるサラ・ジロドー、胸を打つ演技をするモード・ウィレール。すべてのエネルギーが相乗効果を生んでいました。この映画にはそれが必要だったんです。
『ベルナデット 最強のファーストレディ』は11月8日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開