『さがす』『ガンニバル』の片山慎三監督が、つげ義春のシュルレアリスム作品「雨の中の慾情」を原作に、独創性豊かに映画化した最新作『雨の中の慾情』が、11月29日(金)公開される。このたび、本作が撮影地となった台湾で行われる「第44回台北金馬映画祭」にて凱旋上映されることが決定した。さらに、台湾ロケを捉えたメイキング写真が一挙解禁となった。
片山慎三が創出した独創性溢れるラブストーリー
アジア映画で史上初めて米アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督の助監督として研鑽を積み、長編映画デビュー作『岬の兄妹』(18)で日本映画界に衝撃を与えた片山慎三監督。予測不能の展開が話題を呼んだ『さがす』(22)や、国内はおろかアジア圏で高く評価された『ガンニバル』(23)など、センセーショナルな作品を次々と世に送り出してきた彼が今回挑むのは、今年デビュー70周年を迎える「ねじ式」「無能の人」などで知られる伝説の漫画家・つげ義春による短編「雨の中の慾情」の映画化だ。メインキャストは成田凌、中村映里子、森田剛。二人の男と一人の女の切なくも激しい性愛と情愛が入り交じる、数奇なラブストーリーが誕生した。
本作は、「第37回東京国際映画祭」コンペティション部門への出品も決定しており、10月30日(水)には日本最速上映が行われ、成田凌、中村映里子、そして、台湾から撮影に参加したキャストの一人である李杏(シェンメイ役)が登壇する。
「台北金馬映画祭」で上映決定!
絵コンテのまま発表されたつげ義春ならではのシュルレアリスム作品であり、2024年に欧州最大規模の漫画祭である「フランス・アングレーム国際漫画祭」で歴史に残すべき作品に授与される【PRIX DU PATRIMOINE(遺産賞)】にノミネートされた「雨の中の慾情」。この異端作をベースに、片山慎三監督が独創性溢れる数奇なラブストーリーとして映画化した本作は、主演に成田凌を迎え、中村映里子、森田剛の3人をメインキャストに、そのほぼ全てを台湾で撮影した。
昭和初期の日本を感じさせるレトロな町並みが多い台湾中部の嘉義市でロケを敢行し、日本×台湾の共同制作作品として、撮影には台湾映画界のレジェンドとも言える随一の美術・質感(エイジング)師の陳新發をはじめとした台湾屈指の映画スタッフが参加。日本から参加した撮影チームとの見事なコラボレーションで唯一無二の世界観をスクリーンに刻み込んでいる。
そんな本作が、台湾で行われる「第44回台北金馬映画祭」にて凱旋上映される。現地時間11月7日から24日に開催される期間中、本作の上映は11日の夜に行われ、売れない漫画家・義男を演じた主演の成田凌、魅惑的な未亡人・福子を演じた中村映里子、自称小説家の伊守を演じた森田剛らが、現地にて舞台挨拶を実施する予定だ。2024年の3月、約1ヶ月間、台湾に滞在して撮影を行っていたキャスト陣にとっては、完成した本作を引っ提げての凱旋舞台挨拶となる。
台北金馬映画祭での上映にあたり、片山慎三監督、映画祭プログラマー 楊晴絮(ヤン・チンシュ)、台湾の配給会社Light Year Images代表取締役 王鴻碩(ワン・ホンシュオ)の3名より、コメントも到着した。
<コメント>
片山慎三監督
台湾のスタッフ、キャストの皆さま、ようやく『雨の中の慾情』が完成しました。本当に皆様のおかげです。非常に良い映画になっていると思っています。そしてこの度、歴史の長い台北金馬映画祭でお披露目することができることを大変光栄に思っています。この映画は、僕が初めて作ったラブストーリーです。ストーリーは難解な部分もあると思いますが、主人公の一途な気持ちを感じてもらえれば、という思いで作りました。台湾の皆さんにどういう感想を頂けるか、とても楽しみにしています。
台北金馬映画祭 プログラマー 楊晴絮(ヤン・チンシュ)
それは、官能と妄想に満ちた三角関係から始まるが、やがてプロットは、生きることへの不安と現実逃避の願望に満ちた意識の内的迷宮へと誘っていく。漫画家つげ義春の作品の精神に忠実であるだけでなく、片山慎三監督作品の中で最も印象的で深遠な映画である。人の奥底に潜んでいる心の暗い部分を明らかにする旅のようでもある。
Light Year Images社 代表取締役 王鴻碩(ワン・ホンシュオ)
私は2019年、監督の初の長編映画『岬の兄妹』の台湾での配給をさせていただきました。以降、監督の全ての長編映画を配給してきています。本作は、一つのジャンルに規定できない、様々な顔を内包しているファンタジー映画です。監督のもと、出演している全ての俳優がそれぞれの役を生き生きと演じ、誰も観たことがない風景を創り上げました。台湾で撮影が行われたことには感激しています。そして、片山監督の作品作りに関われたことを、とても光栄に思っています。
メイキング写真が一挙解禁!
成田演じる売れない漫画家・義男の作業場兼自宅には、至る所に漫画執筆のための資料や道具が散乱し、壁には一面「眼」のイラストが貼られている。作り込まれた美術と世界観の中、真剣な様子で義男役と向き合う成田凌や片山監督の姿が到着したほか、予告映像でも印象が強い、神秘的なロケーションであるバスタブシーン、さらに、煌々と光り輝く純白の城を訪れる義男や福子の姿を捉えたものなどが到着しており、本編でどのような展開が繰り広げられるのか、想像が膨らむカットの数々だ。
『雨の中の慾情』は11月29日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開