記憶に新しい驚愕事件の真実を描き大ヒット
この事件が報道されたとき、偶然にも同じホワイト姓だったため当初は混乱を招いたようだが、二人は血縁関係ではない。そしてとくに人々の興味を引いたのが、20年近く真面目に勤務してきたが退職を申し出ていた50代半ばの女性刑務官と、懲役75年の判決を受けた30代後半の男性囚人が、恋愛関係にあったのではないか? という憶測だ。
捜査が進むにつれて浮かび上がってきたのは、ヴィッキーの刑務官としての評価の高さと、それゆえに周囲が受けた衝撃。彼女は最後の勤務日に、心理テストを受けさせるという名目でケイシーと共に車に乗った。その不自然な行動がまかり通ったのは、過去に何度も表彰されたという彼女の真面目な勤務態度ゆえだろう。
しかしそんな刑務官が、なぜ凶悪な犯罪者の望みを叶えようとしたのか? このドキュメンタリーはアメリカ本国で配信されるや再生回数が即TOP10入りしたというから、事件への注目度の高さがうかがえる。
11日間にわたる捕物劇と悲惨な最期
ヴィッキーは当初、脱獄に巻き込まれた可能性も考えられた。しかし、脱獄当日に設定されていた退職日や用意周到な行動、ドンピシャな車両購入などの記録により、警察は彼女が共犯者であると判断。11日間にわたる追跡・捜査が始まったが、二人の関係がセンセーショナルに報道されたことにより、まるで<愛の逃避行>のようにあることないこと含め大きく拡散されてしまう。
二人が映っている脱獄前からの監視カメラ映像を遡ると、ヴィッキーが念入りに予行演習していたことも判明。彼女の日頃の行いが可能にした大胆な行為ではあるが、それだけに脱獄後の生活を良い方向にイメージできていたとは考えにくい。わずかな退職金で、一体どこに逃げようとしていたのか? カーチェイスの果てに最悪の結末を迎えてしまった今となっては、それを確かめることはできない。
Netflixドキュメンタリー『ジェイルブレイク:愛の逃避行』独占配信中