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『ボルテスV』ってどんな作品?
ロボットアニメ『超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)』(1977~1978年)をリアルタイムで観ていたという諸先輩方は現在、アラフィフ~アラカン世代になるだろうか。『ボルテスV』は今で言う“スーパーロボット”に分類されるアニメ/ロボットであり、1950年代の「鉄人28号」から連なる<悪と戦う正義のロボット>の一つだ。
東映アニメーション/日本サンライズが手掛ける超電磁シリーズの第2弾として1977年に放送がスタートした『ボルテスV』。総監督の名にちなみ「長浜ロマンロボ」とも称されるシリーズは絶大な人気を誇り、バンダイによる“超合金の合体おもちゃ”もキッズを中心に大ヒットした。実家のどこかに超合金ロボが眠っているはず、という人も多いだろう。
それでは『ボルテスV』自体が子ども向けストーリーなのかと言えば全くそんなことはなく、当時のトレンドを踏まえたうえで構築されたキャラクター設定やストーリーは大人にも訴えかけるものだった。「世界を救うロボット」や「敵ロボットとの派手なバトル」の合間に親子の絆や熱い友情など濃厚な人間ドラマが描かれ、その根底には差別を含む社会問題へのアンチテーゼが盛り込まれていたのだ。
そんな『ボルテスV』が、ついに実写化されたことに世界が驚いた。しかも日本ではなく東南アジア、フィリピン映画界がやってのけたというニュースに、誰もが再び仰天したはずだ。なぜフィリピンで、70年代の日本アニメが、いま、実写化されたのか――?
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