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高倉健がハリウッドに〈義理〉の深さを教える『ザ・ヤクザ』 健さん没後10年、海を渡った任侠映画がテレビ放送

高倉健がハリウッドに〈義理〉の深さを教える『ザ・ヤクザ』 健さん没後10年、海を渡った任侠映画がテレビ放送
『ザ・ヤクザ』©Warner Bros. Entertainment Inc.
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いま観ても見惚れる美しい映像の数々

米国の海運会社を営むタナーの愛娘が、日本滞在中にヤクザ組織・東野組に誘拐された。東野組長とタナーの間で交わされた武器の売買契約を、タナーが無視したためだった。旧友であるタナーから相談を受けたハリー・キルマーは、恩義のあるヤクザ幹部・健に協力を求めるが――。

『ザ・ヤクザ』©Warner Bros. Entertainment Inc.

ざっくりいえば本作は、海を超えた男の友情その他諸々を描くバディ映画だ。様々な人間の思惑が絡み合った末に、疎遠になっていた中年男性たちが互いの<義理>を貫く……。同じく健さんが出演した『ブラック・レイン』(1989年/リドリー・スコット監督)に引き継がれたであろう部分も多々あるが、未知の文化圏における恐ろしいギャング文化という側面よりも、武士道になぞらえて古き良き任侠道を掘り下げようとしているようにも見える。

『ザ・ヤクザ』©Warner Bros. Entertainment Inc.

本作のリメイクがスティーヴン・セガール主演の『イントゥ・ザ・サン』(2005年)というのも驚きだが、優れたオリジナルのおかげかセガール作品の中では何かと見どころが多いのも事実だ。

トンデモ化を踏みとどまる絶妙な日本描写

いま観ると、いや当時リアルタイムで鑑賞した方々も、本作の絶妙にズレた日本描写が気になったことだろう。しかしなぜか意外と、その<トンデモ・ジャパン>が鑑賞のストレスにはならない。もちろん“世界が見たい日本”を詰め込んだ微笑ましさも大きな理由の一つではあるが、80年代のレトロフューチャーなギラつくネオンよりも落ち着いた街明かりが暖かくも不思議な魅力を放っている。

『ザ・ヤクザ』©Warner Bros. Entertainment Inc.

東京や京都、大阪で撮影されたという暖かな街並みやモダンな建造物も美しく、なかでも京都の国際会館はいまだに日本を舞台にしたハリウッド作品では人気のロケ地だ。そしてミッチャムらのガンアクションと健さんによる殺陣のコンビネーションがクールで、流麗なカメラワークで目を釘付けにする。さらにグッとくるのが、健さんが<義理>の意味について英語でそっけなく説明するシーン。その答えの深さに、問いを投げかけたリチャード・ジョーダンと同じような表情になってしまうはずだ。

『ザ・ヤクザ』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「木曜アクション」で2024年10月放送

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