『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
全国公開中
『そこのみにて光輝く』 『きみはいい子』など、あらゆる形の家族のドラマをリアリティあふれる描写で魅せる呉美保監督の9年ぶりとなる長編復帰作は、作家・エッセイストの五十嵐大による自伝的エッセイが原案の親子ドラマ。“きこえる”息子と“きこえない”母の切なくも心に響く家族の物語が優しく紡がれる。一番近くにいるのに距離が生まれてしまう親子の関係性には、誰もが共感すること間違いなし。
宮城県の小さな港町、五十嵐家に男の子が生まれた。祖父母、両親は、“大”と名付けて誕生を喜ぶ。ほかの家庭と少しだけ違っていたのは、両親の耳がきこえないこと。幼い大にとっては、大好きな母の“通訳”をすることも“ふつう”の楽しい日常だった。しかし次第に、周りから特別視されることに戸惑い、苛立ち、母の明るささえ疎ましくなる。心を持て余したまま20歳になり、逃げるように東京へ旅立つ大だったが……。
『西湖畔に生きる』
全国公開中
中国の大河の周辺で暮らす人々の生活を、自然が生きた美しい映像と共に絵巻物語のように映し出した『春江水暖~しゅんこうすいだん』で世界中から注目された、グー・シャオガン監督の長編第2作目は、仏教の故事からヒントを得て描かれた物語だ。なかなか職にありつけない息子と、マルチ商法に手を染めていく母が繰り広げる愛と狂気入り乱れる濃厚な親子ドラマを、豊かで美しい自然の映画美とともに描き出した異色作。痛いほどに伝わる家族愛を噛みしめて。
最高峰の中国茶・龍井茶の生産地としても有名な西湖(せいこ)。そのほとりに暮らす母・タイホア(苔花)と息子・ムーリエン(目蓮)。タイホアは、山の美しい茶畑で茶摘みの仕事をしながら、ひとり息子を育て上げた。ムーリエンはもう大学卒業の年だが、仕事がなかなか見つからない。ある日、タイホアは怪しげな「足裏シート」を販売する組織に出会うが、その実態は違法なマルチ商法だった。ムーリエンは母をなんとか違法ビジネスの地獄から救い出そうと一線を超える決断をする……。
『ぼくとパパ、約束の週末』
11月15日(金)より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか公開
驚きの実話を映画化し、昨年ドイツで100万人を動員しNo.1ヒットを果たした話題作。自閉症と診断された少年ジェイソンの「好きなサッカーチームを自分の目で直接見て決めたい」という大きな野望をかなえるべく、毎週末にドイツ中の56ものサッカースタジアムを訪れていく父と息子の絆の物語。大きな音や人混みが苦手なジェイソンと、そんな彼を心配してばかりの父が見ていた小さな世界が、旅を続けるにつれ次第に大きくなっていく――。泣いて笑ってほっこりできるホームドラマ。
幼い頃に自閉症と診断された10歳のジェイソンには、生活に独自のルーティンとルールがある。ある日、クラスメイトから好きなサッカーチームを聞かれたのに答えることができず、自分の目で56チーム全てを直接見て好きなチームを決めたいと宣言するジェイソン。こうして、多忙なスケジュールをやりくりしてドイツ中のスタジアムを巡る約束をしたパパとの週末の旅がスタート。こだわりの自主ルールを持つジェイソンは、果たして推しのチームを見つけることが出来るのか……?
『動物界』
近未来。人類は原因不明の突然変異によって、徐々に身体が動物と化していくパンデミックに見舞われていた。“新生物”はその凶暴性ゆえに施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。しかしある日、移送中の事故によって、彼らは野に放たれる。フランソワは16歳の息子エミールとともにラナの行方を必死に探すが、次第にエミールの身体に変化が出始める…。人間と新生物の分断が激化するなかで、親子が下した最後の決断とは——?
監督・脚本:トマ・カイエ
出演:ロマン・デュリス、ポール・キルシェ、アデル・エグザルコプロス、トム・メルシエ、ビリー・ブラン
制作年: | 2023 |
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2024年11月8日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開