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人気絶頂バンドが「共産主義国ツアー」のせいで解散!?その謎に迫る『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?』

人気絶頂バンドが「共産主義国ツアー」のせいで解散!?その謎に迫る『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?』
『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?』
©2023 James Sears Bryant All Rights Reserved. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. in Japan
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人気の絶頂から転落、そして解散 ― そのとき何が起こっていた?

シカゴやチェイスなど、ホーンセクションを従えるバンドが一世を風靡した1960年代後半~1970年代。ブラスロックというジャンルを打ち立てたブラッド・スウェット&ティアーズは、ホーン入りバンドブームの先駆者となった。しかし1970年、アメリカ国務省が主催した、東欧諸国を回る“鉄のカーテンツアー”の直後、二分化した大衆の社会騒乱に巻き込まれ、人気の絶頂から転落していく。

『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?』
©2023 James Sears Bryant All Rights Reserved. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. in Japan

このツアーには国務省側が手配した撮影スタッフもバンドに同行したが、この映像は未完のまま封印され、陽の目を見ることはなかった。しかし、それらが奇跡的に発掘され、半世紀以上の時を経て初公開されることになる。

鉄のカーテンの向こう側で撮影された門外不出のフィルム、当時の関係者から提供された数多くの写真、ニクソンとヘンリー・キッシンジャー国務長官との間のホワイトハウスでのやり取りを含むアメリカ政府文書、ユーゴスラビアとドイツのテレビ局向けのパフォーマンス映像、ルーマニアの秘密警察からのファイル――これまで明らかになっていなかった数多の機密データが、不都合な歴史の真実をあぶり出す。

『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?』
©2023 James Sears Bryant All Rights Reserved. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. in Japan

メンバーの抱える問題と政府が提示した“交換条件”

BS&Tは当時、右派からは反戦メッセージを掲げるバンドの姿勢に反感が寄せられ、左派からは政府との交流(件のツアーは米国務省がスポンサー)を叩かれるという状況だったように思う。そしてリードシンガーのデヴィッド・クレイトン・トーマスはカナダ国籍であり、過去の粗相を論われて国外追放の危機に直面してもいた。

全米No.1まで昇りつめながら、突如として陥落した人気バンド。そのきっかけとなったのが東欧ツアーだったことは間違いなく、つまりアメリカ政府の“思惑”に巻き込まれた悲劇的な“事件”とも言えるだろう。本作はBS&Tのメンバーが全面協力しており、まさに“今だから語られる”事実には戦慄を覚える。

『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?』
©2023 James Sears Bryant All Rights Reserved. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. in Japan

当然ながらバンドの解散とは、大小様々な理由が重なって起こるもの。それでも本作は、ロック史のみならず現代の世界史に連なる、大国アメリカの闇と分断を垣間見るかのような、壮大な音楽“サスペンス”ドキュメンタリーと言うべき仕上がりだ。

『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?』は2024年9月27日(金)より恵比寿ガーデンシネマ、シネマート新宿、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

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