ダイアン・レイン、その美しさの秘密
娘エレノアと「瓜二つ」「姉妹のよう」と言われるダイアン・レインは1965年生まれ。『ハイランダー 悪魔の戦士』(1986年)や『モータル・コンバット』(1995年)など我々が大好きな映画への主演で知られる俳優クリストファー・ランバートとのあいだに生まれたエレノアは現在31歳だが、たしかに2人並んでも親子には見えないかもしれない。
レインは“美魔女”という陳腐な言葉では言い表せないエイジレスぶりで、その変わらぬ美貌はやはり多くの人々の憧れであるようだ。陶器のように滑らかな肌と、セレブみを強調しない落ち着いたヘアスタイルやファッション。しっとり落ち着いたオトナの魅力から滲み出るハツラツとしたヘルシーさはデビュー当時から変わらず、朗らかな親しみやすさも醸し出している。
そんなレインの若かりし頃の魅力が爆発したのが、映画デビュー作『リトル・ロマンス』(1979年)。『明日に向って撃て!』のジョージ・ロイ・ヒル監督が、13歳の少年少女のプラトニックな恋を描いた青春映画の傑作だ。レインは本作で『ハムレット』(1948年)の名優ローレンス・オリヴィエと共演している。
レインの魅力が爆発した傑作青春映画『リトル・ロマンス』
パリっ子のダニエルとアメリカ娘のローレンは、ともに13歳。ベルサイユ宮殿で出会った彼らはたちまち意気投合するが、ローレンはアメリカに帰国しなければならなくなった。ふたりは、その前に“サンセット・キスの伝説”――ベネツィアにある「ためいきの橋」の下で、日没の瞬間にキスした恋人たちは永遠に結ばれる――を実行しようと決める。この伝説を教えてくれたジュリアス老人とともにベネツィアに旅立つが、周囲の大人たちに誘拐事件と勘違いされてしまい……。
運命的な出会いと急な別れに直面した幼い男女が、縁結びのおまじないのために繰り広げるパリ→イタリアのドタバタ道中。家出資金を調達するギャンブルシーンは楽しく、ローレンス・オリヴィエ演じる謎の老人ジュリアスの驚きの正体、ほっこりする結末まで見どころが満載だ。レイン演じるローレンのおきゃんな魅力が爆発しており、その後80年代にはフランシス・フォード・コッポラ作品の常連となった。
ちなみに相手役のダニエルを演じたテロニアス・ベルナールは、本作の後に1作出演したのみで俳優業は引退し普通の学生に戻ったそうだ。近年は気候変動でベネチアの運河も深刻な水不足と報じられているが、本作が映し出す<水の都ベニス>はレインの美貌と同じく不変の美しさを湛えている。
『リトル・ロマンス』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「黄金のベスト・ムービー」で2024年9月放送
https://www.youtube.com/watch?v=VrXhE8F5gtk