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日々の生活に疲れたら「悪人が出てこない優しい映画」を!ストレスのリトマス試験紙『フォーエヴァー・ヤング 時を超えた告白』

日々の生活に疲れたら「悪人が出てこない優しい映画」を!ストレスのリトマス試験紙『フォーエヴァー・ヤング 時を超えた告白』
『フォーエヴァー・ヤング 時を超えた告白』© Warner Bros. Entertainment Inc. and Icon Distribution, Inc.
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『ジョーカー2』と“悪”の行方

『ジョーカー』(2019年)の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が間もなく公開となる。あの傑作の続編ということもあり大きな注目を集めているが、レディー・ガガが謎の女リーを演じるなど話題には事欠かない。世紀の悪役ジョーカーとして本格的に覚醒する(のだろうか?)主人公アーサー(演:ホアキン・フェニックス)は、本来とても心優しい男だった。

なぜそんな男が、“悪”を象徴する存在となるのか? それは<優しさ>を食い物にする腐った世の中と、無関心を装って“それ”に乗っかる<優しくない人々>がいるから。観客は思わずアーサーに感情移入し、悪を成す彼を応援したくなってしまう。

『ジョーカー2』でレディー・ガガ演じるリーは、アーサーの“覚醒”を促す存在なのだろうか。殺人行為によって投獄された彼に近づくリーの真の目的とは何なのか。そこに彼を思いやる“優しさ”はあるのだろうか――?

レディー・ガガの訴える<親切>とジャンル映画における<優しさ>

ガガは2021年に若者たちのメンタルヘルスケアを目的とした基金を立ち上げ、30分のショートムービーも制作した。「Be Kind(親切であれ)」というメッセージを掲げる同基金は、心に傷を抱えた人々が話し、聞き、お互いを知ることによって“繋がり合う”ことを目的としている。

自分以外の誰かに「親切であること」は言わずもがな、とても大切だ。それが“不快にさせない”という強迫観念に置き換わってしまうと本末転倒だが、それゆえに独りよがりではない親切が重要になってくる。

 

しかし映画を含むフィクションの世界においては、優しさを訴えるために<悪意>を登場させ、執拗に攻撃させる。それらは演出上の必然であるのかもしれないが、もちろん数ある映画の中には「悪人が登場しない」作品もある。

基本的に非現実を提供するジャンル映画などにおいて過剰な<優しさ>は、下手をすると“生温い”という印象を与えかねない。しかし、“厳しすぎる現実世界”を生きる私たちにとっては、その“優しすぎる架空の世界”こそが最大のフィクションであり、つらい日々を忘れて没入したい<癒やしのエンタメ>とも言えるだろう。

ということで今回紹介したいのは、メル・ギブソン主演のファンタジー恋愛ドラマ『フォーエヴァー・ヤング 時を超えた告白』(1992年)。ご存知『マッドマックス』シリーズが一段落し、『リーサル・ウェポン』シリーズも絶好調だったメルギブ全盛期の1本だ。

『フォーエヴァー・ヤング 時を超えた告白』© Warner Bros. Entertainment Inc. and Icon Distribution, Inc.

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