『エイリアン:ロムルス』が描く“恐怖の秘訣”とは?『ドント・ブリーズ』の鬼才監督が明かす〈エイリアン新章〉制作秘話

反撃不可能な“絶対的脅威”ふたたび!『エイリアン:ロムルス』
『エイリアン:ロムルス』の舞台となるのは、極限の密室ともいえる宇宙。人生の行き場を失った6人の若者たちが、生きる希望を求めて足を踏み入れた宇宙ステーション<ロムルス>だ。しかし、そこで彼らを待っていたのは、“エイリアン”という名の絶望だった……。
寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化するエイリアンたち。しかも、その血液はあらゆる物質を溶かすほどの強酸性で、不用意な攻撃は命取りとなる。そんな宇宙最強にして最恐の生命体から、はたして彼らは逃げ切れるのか――?

『エイリアン:ロムルス』©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.
アルバレス監督が脚本に込めた「最も重要なこと」
世界中の誰もが知る『エイリアン』シリーズの最新作の監督に抜擢されたフェデ・アルバレス。彼はサム・ライミ監督の名作ホラー『死霊のはらわた』のリメイク版監督に抜擢され注目を集めると、続くオリジナル作品『ドント・ブリーズ』が大ヒットを記録しシリーズ化。観客も思わず息を潜めてしまうスリリングな展開、そして音や静寂を巧みに利用して緊張感をMAXまで引き上げる演出など、その類稀な才能を世界に知らしめた。
『エイリアン』について、「何度も観ていたので、この映画を作るプロセスを始める前から、これまでのシリーズは完全に覚えていたと思います」と語るほどシリーズを知り尽くしていたアルバレス監督。本作の制作に取り掛かる前に、膨大なリサーチと準備期間を経たそうで、プロジェクトが始まった当初のことをこう振り返る。
脚本家・監督としての第一歩は、いつも脚本を書き始めることなんです。(スティーヴン・)スピルバーグも言うように、もしそれが脚本のページに書かれていなければ、それは(映画には)出てきません。だから、まずその努力をしました。
その脚本づくりについて彼が意識したのは、「他の『エイリアン』作品を観たことがなくても、“エイリアン”が何なのかを知らなくても、その脚本を読めば、それをちゃんと理解できるようにする」ということ。その脚本への熱い想いは、彼自身の言葉からも滲み出ている。
ページをめくる手が止まらなくて、ストーリーや登場人物に感情移入したくなるようなものにしたんです。それが映画作りにおける最初の部分であり、最も重要なことでした。映画を作る時に、私たちに書ける最高のストーリーでやれるようにするんです。
エイリアンという宇宙最恐で最悪な生物に自然と目が行きがちだが、アルバレス監督が重要視したのは、映画のストーリーであり、本作に登場する若者たちの中のドラマだったのだ。

『エイリアン:ロムルス』©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.
特別“じゃない”若者たちが遭遇する恐怖を体感せよ!
『エイリアン』シリーズの登場人物には、専門的なトレーニングを受けた軍人や各分野の専門家、そして死の概念を持たない万能アンドロイドなど、SF的な意味での頼もしさがあった。宇宙船に乗って航行するのだから、それぞれ特殊なスキルを有したキャラクターを用意するのは必然だ。そして、その中から映画史に残る名キャラクターたちも生まれていった。
最新作『~ロムルス』のメインキャラクターは過去シリーズと少し異なり、それぞれ問題や悩みを抱えた6人の若者たち(+やや欠陥アリ? なアンドロイド)。そして同時に、そこにこそアルバレス監督らしさが光る。彼が得意とする“密室”の舞台設定は完全に逃げ場のない“宇宙船”へと移り、若者たちは“生存率0%”の絶望に立ち向かう。あらゆる恐怖の強化・再設定に思わず身がすくむが、これまで様々なシチュエーションで“襲撃・反撃”も描いてきたアルバレス監督の腕の見せ所と言えるだろう。
宇宙最恐の生命体“エイリアン”はこの秋、日本の観客にどんな恐怖を味わわせてくれるのか? 広大な宇宙の密室で起こる究極のサバイバル・スリラー『エイリアン:ロムルス』は、2024年9月6日(金)より全国公開中。