2001年9月11日
2001年9月11日、米ニューヨークの高層ビル<ワールド・トレード・センター>に2機の旅客機が追突し、やがて崩壊。その様子は生中継され、世界中が“得体の知れない”恐怖に包まれた。当時日本時間では夜中だったが、まだインターネットもそれほど普及しておらず、ただただテレビ報道を見守るしかないもどかしさを記憶している人も多いだろう。
このアメリカ同時多発テロ事件によって、2977人が命を落とした(そのうち24人が日本人だった)。そして事件から間髪を入れず米政府は“対テロ戦争”に突き進み、さらに多くの命が失われることとなった。つい先日、アメリカ在住の日本人男性が崩壊していくビルを撮影した映像が新たにネット上で公開されたが、その映像はいまだ心身に大きなショックを与える。
「9.11映画」の意義
『ユナイテッド93』(2006年)や『ワールド・トレード・センター』(2006年)、『再会の街で』(2007年)、『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年)といった作品は、飛行機に乗り合わせた人々(被害者)、なんとか救おうとした人々、事件を捜査する人々、事件後の遺族などの姿を描いている。あの日から“アメリカ”および“世界”の描かれ方は大きく変わり、大きな傷を負った人たちそれぞれのドラマがいくつも映像化された。
2019年の映画『ワース 命の値段』は、それまでの「9.11映画」とは異なる切り口で話題を呼んだ。物語としては、約7000人ものテロ被害者の“命に値段をつける”究極の難題に挑んだ弁護士の姿を描く、社会派ドラマである。当然ながら実話ベースの物語なのだが、ハッとさせられるのが本作の軸になっている「犠牲者への補償金支払いの難しさ」だ。保険業界で働いている人でもなければ“命を数値化する”という発想自体が遠いことだろうから、まずそこにショックを感じるかもしれない。
マイケル・キートン主演『ビートルジュース』(1988年)
CS映画専門チャンネル ムービープラス「『ビートルジュース ビートルジュース』公開記念!ティム・バートン監督特集」で2024年9月放送