主演に吉沢亮を迎え、呉美保監督9年ぶりの長編作品となる『ぼくが生きてる、ふたつの世界』が、9月20日(金)より公開される。このたび、少年期から青年まで主人公の心の機微を映し出す新たな場面写真が解禁となった。
“耳のきこえない母”と“きこえる息子”の物語
2014年「モントリオール世界映画祭」ワールドコンペティション部門最優秀監督賞に輝き、「第87回アカデミー賞」外国語映画賞部門の日本代表作品に選出、そして2014年「キネマ旬報ベスト・テン」1位に輝く『そこのみにて光輝く』の監督・呉美保が、9年ぶりの長編作品のテーマに選んだのは、“コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供という意味)”という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」。
脚本を担当したのは、『ゴールド・ボーイ』(24)、『正欲』 (23)等を手掛ける港岳彦。主演を務めるのは、「キングダム」シリーズ、「東京リベンジャーズ」シリーズなどの話題作から、作家性の強い監督作など、幅広い作品に出演し、2025年には吉田修一原作、李相日監督『国宝』の公開が控える吉沢亮。本作では、耳のきこえない両親の元で育った息子・五十嵐大の心の軌跡を体現する。
吉沢亮演じる五十嵐大のろう者の両親を演じるのは、母・明子役に忍足亜希子、父・陽介役に今井彰人。ろう者俳優として活躍する二人が溢れんばかりの息子への思いを見事に表現。そのほかユースケ・サンタマリア、烏丸せつこ、でんでんなど個性豊かな俳優陣が脇を固める。
本作は、今年10月9~20日(現地時間)に開催される「第68回ロンドン映画祭(BFI London Film Festival 2024)」のコンペティション部門、そして9月26~10月7日(現地時間)で開催される「第43回バンクーバー国際映画祭(2024)」のパノラマ部門に正式出品されることが決定した。
ロンドン映画祭は、英国映画協会が主催するイングランド最大の映画祭で、昨年は濱口竜介監督の『悪は存在しない』がコンペティション部門で最優秀作品賞を受賞。そのほか、『君たちはどう生きるか』(宮崎駿監督)、『怪物』(是枝裕和監督)、『パーフェクト・デイズ』(ヴィム・ヴェンダース監督)と話題作が上映されており、68回目を迎える今年の映画祭へも注目が高まっている。
今年で43回目を迎えるバンクーバー国際映画祭での本作の上映は、北米プレミアとなる。昨年は『怪物』(是枝裕和監督)、『君たちはどう生きるか』(宮崎駿監督)、『悪は存在しない』(濱口竜介監督)、『アンダーカレント』 (今泉力哉監督)、 『バカ塗りの娘』(鶴岡慧子監督)が上映された。
上海国際映画祭に続いて、ロンドン映画祭コンペティション、さらにはバンクーバー国際映画祭への出品だなんて、これ以上の吉報があるでしょうか。世界に羽ばたく我が子を送り出すような緊張と期待で、いつもカサカサの手のひらが珍しく汗ばんでいます。日本での公開もあと少し、いよいよですよ!はじまりますよ!
(呉美保/監督)
場面写真は、まだ幼い主人公・大(4歳の大役:畠山桃吏)が母・明子(忍足亜希子)や父・陽介(今井彰人)と過ごすシーンや、母に黙っていた小学校での授業参観(小学三年生の大役:加藤庵次)、そして何かと反抗してしまう中学生の三者面談、自分の未来に悩む大(吉沢亮)の姿など、複雑な心のうちが感じ取れるカットの数々だ。劇中、吉沢亮は中学生時代から成人していく主人公の五十嵐大を演じきり、自らの境遇の中で変化する母への思いを繊細に表現。また、大の祖父(でんでん)、祖母(烏丸せつこ)、大が就職した編集プロダクション社長・河合(ユースケ・サンタマリア)ら大を取り巻く個性的な面々にも注目したい。
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は9月20日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー