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最長寿の国民的アイドル
現役の住職にして作家、文化勲章も受章した瀬戸内寂聴が亡くなったのは2021年の11月のこと。享年99。僧侶として約30年間も続けていた「あおぞら説法」は書籍化/CD化され、若い世代の方々は法話こそ聞いたことがなくとも、朗らかなその姿を目にしたことがある人は多いだろう。
しかし寂聴先生が人々を惹きつけたのは僧侶の、とくに尼僧の世間的なイメージから大きく逸脱していたところに理由があった。女性としての“業”を赤裸々に語り、いくつ歳を重ねても性愛に奔放だった寂聴先生。そこに魅せられた人々は彼女の法話を聞き、著作を読み、自らの業を浄化せんと耳を、目を傾けた。月に1度行っていた法話は、死の前年まで続いた。
そんな国民的作家・瀬戸内寂聴に17年間にわたって密着した、彼女の“本音”や“金言”が満載の貴重なドキュメンタリーが『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』だ。本作で語られる「恋愛からは逃れられない。雷のように打たれるしかない」という言葉だけを切り取っても、寂聴先生が人々を惹きつける魅力にあふれている。
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