ぎこちなさすぎてドキドキ…初デートの結末は?
人付き合いが苦手で不器用なフランは、会社と自宅を往復するだけの静かで平凡な日々を送っている。友達も恋人もおらず、唯一の楽しみといえば空想にふけること。それもちょっと変わった幻想的な“死”の空想。そんな彼女の生活は、フレンドリーな新しい同僚ロバートとのささやかな交流をきっかけに、ゆっくりときらめき始める。順調にデートを重ねる二人だが、フランの心の足かせは外れないままで――。
先週末より全国順次公開がスタートした『時々、私は考える』。静謐で美しい映像で語られる、人と関わることが苦手な主人公のフランの物語に多くの共感が集まり、SNSでは「ささやかな幸せが尊い」「優しく人生を応援してもらえた」「宝物のような映画」「下半期ベストかも」といった感想が寄せられている。
このたび公開された本編映像は、不器用だったフランの日常が変わり始めるきっかけとなった、新しい同僚ロバート(演じるのはコメディアン・俳優・作家として活躍するデイヴ・メルヘジ)とのぎこちない初デートを切り取ったもの。ぎこちない2人のドキドキ、でもなぜか心穏やかになる柔らかなシーンだ。
「映画よかった?」
「いいえ。いいところがなかった」
互いに映画好きだと知ったフランとロバートは、仕事終わりに映画館で待ち合わせをすることに。その後、ロバートは行きつけのレストランへフランを誘った。「映画よかった?」というロバートの問いに「いいえ。いいところがなかった」と正直な感想を口にするフラン。あまりにも率直は返答に戸惑いつつ、ロバートは気分を害することなく「僕が気に入っただけ」と自然な態度を崩さない。
レストランで“本日のパイ”をシェアすることにしたふたり。ウェイトレスがメニューを下げようとしたタイミングで、フランは思い出したように「アイリッシュコーヒーも」と注文する。ホットカクテルの追加注文に少し驚いた様子のロバートだったが、すぐに「僕にも」と便乗して笑顔を返すのだった。
普段は人と話をしないフランの不器用な様子と、彼女のペースに振り回され気味ながらもスマートに応対するロバートの穏やかな人柄が垣間見える、このシーン。もし隣の席に居合わせたら気が気じゃない、色んな意味でドキドキしてしまう、まるで10代の初デートのようなギクシャクぶりは微笑ましくもある。
シビアに考察すれば2人が“うまくいく”可能性は皆無のように見えるが、この関係性は今後どうなっていくのか……? 凸凹だけれど不思議な癒やしも感じさせる、ゆっくりじっくり進んでいく2人のロマンスを劇場で見届けよう。
『時々、私は考える』は新宿シネマカリテほかにて全国順次公開中