実際の凶悪殺人事件を映画化する気鋭監督の長編デビュー作『スノータウン』はトラウマ級の激悪後味な傑作【鑑賞ガチ注意】

ジャスティン・カーゼル監督とは何者か

ジャスティン・カーゼル監督の名を聞いて、その作風をゾゾッと思い出す映画ファンは少なくないだろう。ケイレブ・ランドリー・ジョーンズを主演に迎えた『ニトラム／NITRAM』（2021年）は、自身の母国であるオーストラリアで1996年に起こった銃乱射事件をベースに描いた実録ドラマだった。

マイケル・ファスベンダーとマリオン・コティヤールという豪華キャストによる『マクベス』（2015年）や、そのままキャストを継続させたゲーム原作映画『アサシン クリード』（2016年）など、ちょっと不思議なフィルモグラフィーでも知られるカーゼル監督だが、長編デビュー作である『スノータウン』（2011年）も実際の事件からインスパイアされたスリラー劇。第64回カンヌ国際映画祭の批評家週間で特別審査員賞を受賞している。

『スノータウン』©2010 Screen Australia, Warp Films Australia Pty Ltd, Film Victoria, South Australian Film Corporation, Adelaide Film Festival and omnilab Media Pty Ltd

被虐待少年の前に現れたのは救世主か、サイコパスか

オーストラリア南部にあるアデレード郊外の田舎街、16歳の少年ジェイミーは、母親や障害を持つ幼い弟達と貧しくも静かに暮らしている。しかしジェイミーは隣人から性的虐待を受けるなど、絶望的な日々を送っていた。そんなある日、母親の新しい彼氏ジョンが家にやってくる。

気さくでカリスマ性のあるジョンだが、彼も幼少期に虐待された経験があった。次第に彼の信奉者になっていくジェイミー。しかしジョンは、身近にいる性癖異常者を根絶しようと、次々と殺害を繰り返していくのだった。そしてジェイミーもジョンの指示に従うようになり、決して戻れない道へと進んで行くことに……。

『スノータウン』©2010 Screen Australia, Warp Films Australia Pty Ltd, Film Victoria, South Australian Film Corporation, Adelaide Film Festival and omnilab Media Pty Ltd

豪銃乱射事件の“かもしれない”を描く『ニトラム／NITRAM』は世界初“銃規制”映画？ ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ主演