台湾国民政府の恐怖政治によって離島に収監された女性たちはどうなったのか?「白色テロ」の暗黒史を描く人間ドラマ『流麻溝十五号』全国公開中

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恐怖政治による「白色テロ」の時代とは?
日本統治時代が終わり、1949年に中国での共産党との戦いに敗れた蒋介石とともに台湾にやってきた台湾国民政府による、恐怖政治下で戒厳令が敷かれていた時代「白色テロ」。この時代、台湾南東岸に位置する自然豊かな島・緑島には30年以上もの間、政治犯収容を目的とした教育施設と監獄が置かれていた。
思想改造および再教育を目的とした「新生訓導処」は1951年から1965年まで設置され、収監された人々は名前でなく番号で管理されていた。映画のタイトルとなった<流麻溝十五号>とは、身分も年齢も違う女性たちが収容されていた住所である。

『流麻溝十五号』©thuànn Taiwan Film Corporation
台湾での劇場公開に際し、宣伝活動・ポスプロ費などのために行われたクラウドファンディングでは、43日間で5,758名から支援を受け、約6,085万円(1,217万ニュー台湾ドル)の資金調達を達成。台湾公開に大きな期待が寄せられ、公開から1ヶ月余りで約10万人が劇場で本作を鑑賞した。

『流麻溝十五号』©thuànn Taiwan Film Corporation
※緑島:台湾の南東岸に位置する面積約16平方キロの小さな島。日本統治時代は火焼島と呼ばれ、戦後の1949年に緑島と改名された。
※新生訓導処:政府単位の管轄下にある訓練組織で、1950年に台北の内湖に設置されていたが、1951年に緑島に移される。思想犯や政治犯を監督し更生させるための最大の強制収容所であり、労働更生と思想改革の二重の機能を果たしていた。当時、各部隊は120~160人。最大収容人数は2000人を超え、計12部隊で構成されていた。その内の第6部隊に当たるのが女生分隊だった。
『流麻溝十五号』は2024年7月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開中
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