第47回トロント国際映画祭のワールドプレミアで話題となった新鋭ソフィー・カーグマン監督の最新作『#スージー・サーチ』が、8月9日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋HUMAXシネマズほかにて全国順次公開となる。
このたび『#スージー・サーチ』の新たな本編映像&場面写真の解禁と併せて、本作の鑑賞前にぜひチェックしておきたい<承認欲求が生み出す狂気>を描いた映画をピックアップ。時代を問わず作劇のテーマとなってきた、人の内面に潜む<闇>を堪能してみては――?
〈承認欲求が生み出す狂気〉を描いた映画
ソーシャルメディア全盛の時代。斬新なストーリーとエッジの効いた演出でもって、インスタントに手に入る名声に固執する現代社会へ警告を鳴らす風刺的作品がいま、あらためて注目を集めている。
『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』(2023年)は、強烈なスリルと快感を得られる禁断の「#90秒憑依チャレンジ」に参加するSNS世代の孤独を抱えた主人公が予期せぬ事態に陥る、A24屈指の大ヒットホラー。
『メインストリーム』(2021年)は、瞬く間に人気YouTuberとなった青年が「いいね!」の媚薬に心を蝕まれていく心理スリラー。ソーシャルメディアを恐怖のトリガーに設定した物語は、片時もスマホを手放せない現代社会と否応なくリンクする。
ジェイク・ギレンホール主演の『ナイトクローラー』(2014年)は、視聴率至上主義のテレビ業界で注目を集めるため、衝撃映像を手に入れようと土足上等の過激取材で倫理を踏み外していくパパラッチを描いた狂気の“報道”スリラーの傑作だ。
『Pearl パール』(2023年)は、スクリーンに映るスターの華やかな世界に憧れを持つ田舎暮らしの少女が、生活環境によって抑圧されていた欲望を解き放ちシリアルキラーに覚醒してしまう様を描く、壮大な3部作ホラーの第2作目。
そして、アーティストとして一躍有名になった恋人に激しい嫉妬心を抱き、焦燥感に駆られた主人公が破滅的な自己愛と承認欲求に取り憑かれる映画『シック・オブ・マイセルフ』(2022年)は、自らを傷つける主人公のビジュアルも話題を呼んだ。
このように、一般人であっても各種メディアを通して“他者との比較”に苛まれる、現代病とも言える<闇>をテーマに据えた衝撃作が続々と誕生している。
自己顕示欲を満たすメディアの罠、暴走する承認欲求
SNSの普及によって、誰でも一夜にして“有名人”になれる……それが世界の“すべて”と思い込むことで歯止めが効かず加速していく。賢く使えば救いにもなるSNSだが、そこで<逸脱した行動>をとってしまう主人公像は映画/ドラマのテーマとして抗いがたい魅力があり、観る者に<他人ごとではない恐怖>を与えることもできる。
そんな暴走する承認欲求を斬新かつ共感必至の演出で描いた『#スージー・サーチ』は、SNSスリラーの真打ちとも言える注目作。俳優としてのキャリアをもつソフィー・カーグマン監督は、盲信的なバズり文化の“行き着く先”を、ブラックなユーモアを交えながら観客に突きつける。