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日本とミュージカルの相性
「ミュージカル」は、長らく日本の市場と相性が良くないと言われていた。ただし、それは観劇ファンの層の厚さをスルーしたお茶の間限定の考察であって、もちろんミュージカル映画も然り。それがぐっと浸透したのは2000年代以降で、2004年公開の『オペラ座の怪人』は今年、4Kデジタルリマスターでの復活上映が大盛況となっている。
社会現象レベルと言えるほどの大ヒットとなったのは、やはり2016年の『ラ・ラ・ランド』だろう。切ないラブストーリーというベースに、エマ・ストーン×ライアン・ゴズリングというキャスティングも幅広い層に受けた。アカデミー賞で13部門を制覇しながら作品賞は逃したが、それもある意味で近年のミュージカル映画らしい顛末だった。
コロナ禍の洋画不振を救ったミュージカル映画
近年もう一つの印象的なヒット作が『グレイテスト・ショーマン』(2018年)。アカデミー賞では無冠に終わったが、『シカゴ』(2002年)のように華やかなビジュアル、『レ・ミゼラブル』(2012年)のヒュー・ジャックマン主演という馴染みのある要素、そして『ラ・ラ・ランド』でお茶の間までミュージカル映画が浸透していた日本でしぶといヒットとなった。
ここ最近も、『メリー・ポピンズ』(2019年)や『キャッツ』(2020年)、『イン・ザ・ハイツ』(2021年)、『ウエスト・サイド・ストーリー』(2022年)に『アネット』(2022年)など、往年の名作リバイバルから巨匠の挑戦作まで、ディズニー等のアニメ作品を除いてもミュージカルの存在感が強まっている。目線を変えると、洋画不振と言われたコロナ禍に踏ん張ってくれた作品とも言える。
そんなミュージカル映画の中から、新旧の名作たちをピックアップした特集CS放送が「ミュージカル映画傑作選」。以下に放送作品をざっと紹介しよう。
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