チョ・インソン演じる密輸王が静かな狂気をみせる
キム・ヘス演じるチュンジャが海女を辞め、持ち前のハングリーさで密輸品の洋服を売りさばき儲けていた矢先、縄張り荒らしと見なされ、捕まってしまう。そこに登場したのが、チョ・インソン演じる裏社会の密輸王・クォン軍曹。
不敵な笑みを浮かべ、チュンジャに近づき、タバコをくわえさせ、火をつけさせた後、「俺を知ってるな?」と一言。「北から来たスパイもクォン軍曹…クォン社長を知ってます」「1対1で対面したらどうなるかも?」「死ぬか、体が不自由になるか…でなければ仲間になる?」と震える声で答えるチュンジャに対し、クォンは終始冷静。
そして「ピンハネして楽に稼いだもんだな。1800万ウォン払えば見逃してやろう」とビジネスマンのように提案する。しかし「お兄さん1800万ってどういうこと?」とついチュンジャが反論すると、財布にいれていた剃刀の刃をさっと取り出し、チュンジャの頭を躊躇なく切りつける。額から頬へタラタラと流れる血を拭きながら「俺に話に口を挟むな。それと、そっちが姉さんだ」と一蹴。軽い口調ながら、裏社会を牛耳る曲者ぶりを一発でみせる場面だ。
韓国大ヒットドラマ『バリでの出来事』『大丈夫、愛だ』や、昨年話題となった『ムービング』など、作品ごとに様々なキャラクターを演じ切り、最近では人気バラエティ『見習い社長の営業日誌』シリーズでの飾らない姿が好評を博したチョ・インソン。今年5月に東京で開催されたファンミーティングチケットが完売し、7月に大阪での追加公演も決定するなど、常にファンを魅了している。
そんな彼がリュ・スンワン監督作品へ参加するのは、エリート外交官を演じた『モガディシュ 脱出までの14日間』に続き2度目だが、本国での制作会見で監督から直接電話で出演オファーがあったことを明かし、「(監督は)家も近くご近所さんでもあるのでたまに遊びに行ったり、お兄さんのようであり、今は映画仲間(同志)になったような感じもします」と熱い信頼関係を披露していた。リュ・スンワン監督がこだわった「(『モガディシュ~』とは)異なるチョ・インソンの魅力」が炸裂する悪のカリスマ感に注目したい。
『密輸 1970』は7月12日(金)より全国ロードショー