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大量殺人事件とマスコミの狂騒
あの「和歌山毒物カレー事件」を多角的に検証した驚愕のドキュメンタリー『マミー』が、2024年8月3日(土)よりシアター・イメージフォーラム、第七藝術劇場ほか全国の劇場で順次公開される。
「和歌山毒物カレー事件」とは
1998年7月、和歌山県某市の夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入するという事件が発生。これにより67人がヒ素中毒を発症し、小学生を含む4人が死亡。捜査の末に犯人と目されたのは、現場の近くに住む主婦の林眞須美だった。
死刑囚の家族の「その後」
当時、週刊誌やテレビの報道で林眞須美の姿を見て衝撃を受けた人も多いだろう。「ふてぶてしい」と揶揄されたその態度から“毒婦”などと称され、マスコミは連日にわたって彼女をカメラで追い続けた。そして、昼夜にわたり自宅を取り囲むなどやりたい放題だった報道陣にホースで水を浴びせる様子は、皮肉にも格好のネタとなってしまった。
この事件は当然ながら、眞須美死刑囚の家族にも暗い影を落とした。事件当時まだ中学生だった長女は結婚や出産を経験するが、やがて虐待によって我が子の命を奪い、直後に自死。おなじく当時10歳だった長男は、苛烈報道が残していった偏見や誹謗中傷、そして母への想いについて、たびたびドキュメンタリーや報道番組のインタビューなどで吐露してきた。
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