プリシラが書いたこと、書かなかったこと
本作はプリシラの自伝を基にしており、女性監督作ということもあってか、これまで描かれてきたエルヴィス目線の映像作品とは一線を画す。
リサ・マリーの遺産をめぐる泥沼闘争など、いわゆるセレブ・ゴシップでしかプリシラの存在を意識していなかった人も多いだろうから、ある意味でショックを受けるかもしれない。とはいえ自伝執筆の時点で見たもの/見なかったものを選別してはいただろうし、当然ながら大スター夫婦の悶着これにて落着、という内容でもない。
なにしろエルヴィスと出会ったのが14歳で別れたのが28歳という、人生の一番はっちゃけたい時期を超特殊な環境に置かれたのだから、ぶちまけたいことも多々あっただろう。それでも、若くして“囚われのプリンセス”状態だったプリシラが夫の死後に“解放”され、『裸の銃(ガン)を持つ男』シリーズ(1988年)などで女優としても活躍したことは、一個人としての彼女の強さも伺わせる。
『プリシラ』と『エルヴィス』、併せて観れば何かが見えてくる?
『プリシラ』は自伝ベースではあるが淡々とした伝記映画ではなく、ソフィア・コッポラ作品だけあって言葉の端々や表情の機微に複雑な心象が込められている。何度も観ることで発見があるタイプの映画だが、『エルヴィス』と併せて観ることで、また違った気づきもあるだろう。
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プリシラがエルヴィスと口論していたとき、『エルヴィス』の裏主人公だったトム・ハンクス演じる悪徳マネージャー、パーカー大佐は何を企んでいただろうか? エルヴィスがドラッグ中毒のような状態にあったとき、プリシラは何処にいて何を見ていただろうか? などなど考えずにはいられない、あとからじんわりとくる“真実の”物語である。
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『プリシラ』は2024年4月12日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
『エルヴィス』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年4月放送